Riche Amateur

「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

配架-アメリカ文学

東京日記

いまから五年くらい前のこと。ぞっこん惚れこんでいるのに、なにひとつ感想めいたことを書けない、という奇妙な作家と出会った。リチャード・ブローティガンである。『アメリカの鱒釣り』、『芝生の復讐』、『愛のゆくえ』などを読んで、もうとんでもなく好…

もしも、詩があったら

先月は信じられない頻度で更新をしていたので、ちょっと控える(さぼる)ことにしていた。何度でも眺めて楽しむことのできる宝石のような詩、それがたくさん集められた、まさしく宝石箱たる詩集に、次から次へと手を伸ばすというのは、あんまりいい趣味とは…

The It-Doesn't-Matter Suit

書店で児童文学の棚を眺めているときに目に止まった一冊。シルヴィア・プラスが児童文学を書いているとは知らなかったので、興味本位に手を伸ばしてみた。 The it Doesn't Matter Suit and Other Stories (Faber Children's Classics) 作者: Sylvia Plath 出…

Stuart Little

先日記事にした『Charlotte's Web』に引き続き、E・B・ホワイトのもうひとつの代表作。映画化もされて一時期話題になったものの、まだまだ日本ではあまり知られていない、とはいえ英語圏では知らないひとなどいない、という類の児童文学。 Stuart Little 60t…

Charlotte's Web

このところ、英語で本を読むのがとても楽しい。と言っても、どんな本でも読めるというわけではない。語彙ももちろんそうだが、微妙な語感であったり、まだそういうものに十分に敏感であるとはぜんぜん言えないのだ。大人向けに書かれた本は、まだ手に負えな…

The Perks of Being a Wallflower

英語で読んだ2冊めの本、と書いて、ああ、そういえばアディーチェも読んだんだった、とすぐに思いなおした。でも、あれは50ページほどの講演をまとめたものなので、換算すべきではないだろう。『Aristotle and Dante Discover the Secrets of the Universe』…

Aristotle and Dante Discover the Secrets of the Universe

職場の同僚であるスリランカ人とパレスチナ人の女の子たちから、同時に薦められた本。英語の本を読むのはじつに久しぶりで、正直不安でいっぱいだったのだが、意外にもすんなり読み進められてちょっと興奮した。メキシコ系アメリカ人の書いた、アメリカでは…

ふふふん へへへん ぽん!

先日訃報に接したばかりの、モーリス・センダックの作品。江國香織の『絵本を抱えて部屋のすみへ』に紹介されていて、読みたくなったもの。 ふふふんへへへんぽん!?もっときっといいことある 作者: モーリスセンダック,Maurice Sendak,神宮輝夫 出版社/メー…

バートルビー 偶然性について

ジョルジョ・アガンベンの論文「バートルビー 偶然性について」と、その主題であるメルヴィルの短編「バートルビー」の新訳を同時に収録した、大変気の利いた一冊。主題となる小説の短さが可能にした素晴らしい構成であり、さらに訳者による「バートルビーの…

移動祝祭日

ヘミングウェイの描いた、まだ二十代だった頃に体験したパリの想い出の数々。最晩年に書かれた遺作にして最高傑作。新訳版。 移動祝祭日 (新潮文庫) 作者: アーネストヘミングウェイ,高見浩 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2009/01/28 メディア: 文庫 購入…

アインシュタインの夢

先日友人と話をしていて、ハヤカワepi文庫の全点読破を目指すことになった。期限を設けるわけではないので緩やかに実施されるに違いないが、特に初期のものに手を回すのはなかなか大変である。先日、田村隆一の詩を読んでいてアインシュタインの名前が出てき…

青い眼がほしい

ハヤカワepi文庫の今月の新刊は『ソロモンの歌』である。ジョージ・オーウェルの『一九八四年』も発売になったが、個人的にはこちらの方に注目してしまう。今月の『ソロモンの歌』を皮切りに、今後毎月、「トニ・モリスン・コレクション」でしか読めなかった…

キャッチャー・イン・ザ・ライ

前に春樹訳の『グレート・ギャツビー』を読んでから、ずっと読み直したいと思っていたサリンジャー。『1Q84』が予想以上に良かったので手に取ってみた。 キャッチャー・イン・ザ・ライ (ペーパーバック・エディション) 作者: J.D.サリンジャー,J.D. Salinger…

宇宙舟歌

『オデュッセイア』を読んでいた私にSFを愛する友人が勧めてくれた一冊。ラファティによって書かれた宇宙版『オデュッセイア』。 宇宙舟歌 (未来の文学) 作者: R.A.ラファティ,R.A. Lafferty,柳下毅一郎 出版社/メーカー: 国書刊行会 発売日: 2005/10 メデ…

グレート・ギャツビー

ああ、やばい。読み始めて五分も経たないうちに思った。ああ、やばい。前にこの本を大っぴらにけなしたことを思い出したのだ。「野崎孝の名訳があるのに、わざわざ訳す必要なんてないじゃないか」と公言していた。僕は高校生の頃に、野崎孝訳のこれを読んだ…

黒猫/モルグ街の殺人

何となく江戸川乱歩を読んでからずっと気になっていた。たまたま光文社の新訳を古本屋で見つけたので、今回、早速読んでみた。 黒猫/モルグ街の殺人 (光文社古典新訳文庫) 作者: ポー,小川高義 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2006/10/12 メディア: 文庫 …

イン・ザ・ペニー・アーケード

友人がミルハウザーをこんな風に評価していた。「トーマス・マンとボルヘスを足して二で割ったような感じ」。どんな感じだ。 イン・ザ・ペニー・アーケード (白水Uブックス―海外小説の誘惑) 作者: スティーヴンミルハウザー,Steven Millhauser,柴田元幸 出版…

旅に出ても古書店めぐり

一年前に絶賛した『古書店めぐりは夫婦で』の続編。 旅に出ても古書店めぐり (ハヤカワ文庫NF) 作者: ローレンスゴールドストーン,ナンシーゴールドストーン,Lawrence Goldstone,Nancy Goldstone,浅倉久志 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2001/02 メディ…

華氏451度

本を読むことが禁じられた時代を描いた、ブラッドベリの長編。 華氏451度 (ハヤカワ文庫SF) 作者: レイブラッドベリ,Ray Bradbury,宇野利泰 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2008/11 メディア: 文庫 購入: 11人 クリック: 115回 この商品を含むブログ (10…

スローターハウス5

以前ハインラインやブラッドベリを揚げ、想像力の到達点がSFなのかもしれない、と思った。 今回、その時に感じたのとはまた違った形で、文学の新しい形態としてのSFと出会った。 スローターハウス5 (ハヤカワ文庫SF ウ 4-3) (ハヤカワ文庫 SF 302) 作者:…

湖中の女

マーロウに会いたくなって手に取った一冊。 湖中の女 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者: レイモンドチャンドラー,清水俊二 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 1986/05 メディア: 文庫 クリック: 10回 この商品を含むブログ (23件) を見る レイモンド・チャン…

チャリング・クロス街84番地

ニューヨークに住む愛書家の女性が、ロンドンの古本屋に本を注文したことによって始まった往復書簡集。 チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本 (中公文庫) 作者: ヘレーン・ハンフ,江藤淳 出版社/メーカー: 中央公論社 発売日: 1984/10/10 メ…

ポスト・オフィス

オールド・パンクの処女長編。おかえり、ブコウスキー。 ポスト・オフィス 作者: チャールズブコウスキー,Charles Bukowski,坂口緑 出版社/メーカー: 学習研究社 発売日: 1996/02 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る チャールズ・ブコウス…

老人と海

アメリカ文学の旗手、ヘミングウェイによる中編。 老人と海 (新潮文庫) 作者: ヘミングウェイ,福田恆存 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2003/05 メディア: 文庫 購入: 23人 クリック: 184回 この商品を含むブログ (216件) を見る アーネスト・ヘミングウェ…

ガープの世界

論文を書きながら、どうしても小説に触れたくなった時に読んでいた本。 ガープの世界〈上〉 (新潮文庫) 作者: ジョンアーヴィング,筒井正明 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1988/10/28 メディア: 文庫 購入: 6人 クリック: 73回 この商品を含むブログ (95…

ピギー・スニードを救う話

職場の女性に勧められ、手にとった九月の新刊。 ピギースニードを救う話 (新潮文庫) 作者: ジョンアーヴィング,John Irving,小川高義 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2007/08 メディア: 文庫 購入: 4人 クリック: 7回 この商品を含むブログ (24件) を見る …

武器よさらば

光文社古典新訳文庫の先月の新刊。翻訳は児童文学などで名高い、金原瑞人。 武器よさらば(上) (光文社古典新訳文庫 Aヘ 1-1) 作者: アーネストヘミングウェイ,Ernest Hemingway,金原瑞人 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2007/08 メディア: 文庫 クリック: …

シカゴ育ち

柴田元幸が「自分が今まで訳した本の中で最良の一冊」と評した、ステュアート・ダイベックの傑作短編集。 シカゴ育ち (白水Uブックス―海外小説の誘惑 (143)) 作者: スチュアート・ダイベック,柴田元幸 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2003/07 メディア: 新…

小鳥たち

金持ちの老人の道楽のために書かれた、詩人による官能小説集。 小鳥たち (新潮文庫) 作者: アナイスニン,Ana¨is Nin,矢川澄子 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2006/02 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 18回 この商品を含むブログ (35件) を見る アナイ…

蠅の王

人間の内面の暗黒を追及した、ノーベル文学賞受賞作家の作品。 蠅の王 (新潮文庫) 作者: ウィリアム・ゴールディング,William Golding,平井正穂 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1975/03/30 メディア: 文庫 購入: 37人 クリック: 711回 この商品を含むブロ…

体の贈り物

末期患者たちの介護を行う、ホームケア・ワーカーのノンフィクション小説。 体の贈り物 (新潮文庫) 作者: レベッカブラウン,柴田元幸 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2004/09/29 メディア: 文庫 購入: 5人 クリック: 28回 この商品を含むブログ (78件) を…

町でいちばんの美女

酔っ払いパンク爺再び。世界一下品な短編集。 町でいちばんの美女 (新潮文庫) 作者: チャールズブコウスキー,青野聡 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1998/05/28 メディア: 文庫 購入: 9人 クリック: 287回 この商品を含むブログ (100件) を見る チャールズ…

パルプ

世界一の不良パンク爺による世界一下品な探偵小説。 パルプ (新潮文庫) 作者: チャールズブコウスキー,Charles Bukowski,柴田元幸 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2000/03 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 30回 この商品を含むブログ (48件) を見る チ…

ルル・オン・ザ・ブリッジ

愛書家の先輩二人が薦めてくれた本です。アマゾンで注文した後開いてみたら映画台本だったので、読み終わってから即座に映画を観ました。 ルル・オン・ザ・ブリッジ (新潮文庫) 作者: ポール・オースター,Paul Auster,畔柳和代 出版社/メーカー: 新潮社 発売…

さらば愛しき女よ

他人を心から愛するとは、一体どういうことなのか。あまりにも悲劇的な、チャンドラーの傑作。 さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2)) 作者: レイモンド・チャンドラー,清水俊二 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 1976/04 メディア: 文庫 購…

探偵になりたい

妻の尻に敷かれっぱなしの、事故専門探偵スタンリー・ヘイスティングスによる大冒険。 探偵になりたい (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者: パーネルホール,Parnell Hall,田村義進 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 1989/12 メディア: 文庫 クリック: 15回 こ…

ハックルベリ・フィンの冒険

マーク・トウェインによる『トム・ソーヤーの冒険』の続編。 ハックルベリ・フィンの冒険―トウェイン完訳コレクション (角川文庫) 作者: マークトウェイン,大久保博 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店 発売日: 2004/08/01 メディア: 文庫 購入: 2人 クリッ…

トム・ソーヤーの冒険

自然の中で遊ぶことを忘れている全ての人たちへ向けられた、一人の「少年」についての年代記。 トム・ソーヤーの冒険―トウェイン完訳コレクション (角川文庫) 作者: マークトウェイン,Mark Twain,大久保博 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 2005/01 メディ…

古書店めぐりは夫婦で

すごい本に出会ってしまった。本の魅力や、愛書家の欠点がまざまざと表れている本。 古書店めぐりは夫婦で (ハヤカワ文庫NF) 作者: ローレンスゴールドストーン,ナンシーゴールドストーン,Lawrence Goldstone,Nancy Goldstone,浅倉久志 出版社/メーカー: 早…

プラダを着た悪魔

たまには売れている本でも読もうと思って、手に取りました。 プラダを着た悪魔〈上〉 (ハヤカワ文庫NV) 作者: ローレンワイズバーガー,Lauren Weisberger,佐竹史子 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2006/10 メディア: 文庫 クリック: 2回 この商品を含む…

夏への扉

面白い。想像力の最大の到達点がSFなのだと思う。 夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345)) 作者: ロバート・A・ハインライン,福島正実 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 1979/05 メディア: 文庫 購入: 46人 クリック: 601回 この商品を含むブログ (483件) を…

雪のひとひら

新潮文庫から出ている、ポール・ギャリコの小編。 雪のひとひら (新潮文庫) 作者: ポールギャリコ,矢川澄子 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2008/11/27 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 10回 この商品を含むブログ (16件) を見る ポール・ギャリコ(矢…

高い窓

有無を言わせぬ格好良さ。ひょっとしたら僕らはレイモンド・チャンドラーのファンなのではなく、フィリップ・マーロウのファンなのかもしれない。 高い窓 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者: レイモンドチャンドラー,清水俊二 出版社/メーカー: 早川書房 発売日…

長いお別れ

貴方は、読んでいて犯人が誰だっていいと思えるミステリー小説が、この世に存在していることを簡単に信じられるだろうか。それは勿論、俄かには信じられないことだ。しかし強制的に信じさせられることがある、ということに比べたら、そんなことは大して重要…

火星年代記

天才。ここまで想像力が及ぶものか、と感動しました。レイ・ブラッドベリは天才です。 火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114) 作者: レイ・ブラッドベリ,小笠原豊樹 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 1976/03/14 メディア: 文庫 購入: 13人 クリック: 329回 こ…

料理人

専門書ばかり紹介しても面白くないので、小説も紹介することにしました。 折角紹介するのなら、普通に生きていたら手に取らないような小説を紹介したいと思います。というわけでハリー・クレッシング。 料理人 (ハヤカワ文庫 NV 11) 作者: ハリー・クレッシン…

ゴールデンボーイ

映画「ショーシャンクの空に」の原作である「刑務所のリタ・ヘイワース」と、表題作「ゴールデンボーイ」の二作が収められたもの。 ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編 (新潮文庫) 作者: スティーヴンキング,Stephen King,浅倉久志 出版社/メーカー: 新潮社…