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Riche Amateur

「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

和子の部屋

友人に魅力を熱弁されたのがきっかけで手に取った、阿部和重の対談集。7月末に刊行されたばかりの、『小説トリッパー』にて連載されていたコラムをまとめたもの。 和子の部屋 小説家のための人生相談 作者: 阿部和重 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: …

尾崎放哉句集

短歌に興味を持ったことで、俳句という文化にも関心が向きはじめている。そこで思い出した、尾崎放哉。じつは数年前にも読んでいたのだが、そのときには文章にしなかったので、良い機会だと思って再読してみた。 尾崎放哉句集 (岩波文庫) 作者: 池内紀 出版…

サリンジャーは死んでしまった

以前友人が紹介しているのを読んでから、とても興味を持っていた一冊。彼女が採った以上の方法で、この本の魅力を伝えられるとも思えず、いっそのこと文章をまるまる引用してやろうか、と思ったりもするのだが、それでは完全な剽窃となってしまうので、どう…

短歌の友人

なんだか無性に短歌のことが知りたくなって、初めて手に取ってみた穂村弘。 短歌の友人 (河出文庫) 作者: 穂村弘 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2011/02/04 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 12回 この商品を含むブログ (24件) を見る 穂村弘『…

夢の通い路

ひょんなことから、最初の一篇「花の下」を読む機会があり、最後まで読んでみたいと思った連作短篇集。自分にとっては二冊目の倉橋由美子。 夢の通い路 (講談社文庫) 作者: 倉橋由美子 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1993/11 メディア: 文庫 クリック: 1…

聖少女

すでに差し迫っている日までに、なんとしてでもこの作家の本を一冊読んでおかなければならない、という自分のうちに起こった強迫観念から手に取った一冊。必要に迫られた読書というのは、時間ばかりがかかって遅々として進まないものだが、この本に関しては…

父の詫び状

手に取ったきっかけは、少しばかり前にNHK・BSでやっていた「猫を愛した芸術家たち」という特別番組だった。四夜連続で放送され、日ごとに違った芸術家が取り上げられていて、そのうちの一回が向田邦子だったのだ。ちなみにほかの三人は内田百閒、夏目漱石、…

異国トーキョー漂流記

先日友人と会った折に、「外国から戻ってくると、今まで当たり前だと思っていた風景が日本独特のものだとわかる」というような話をした。それを受けて友人が薦めてくれた一冊。 異国トーキョー漂流記 (集英社文庫) 作者: 高野秀行 出版社/メーカー: 集英社 …

夕鶴・彦一ばなし

日本に帰ってきてからというもの、むさぼるように日本文学を読んでいる。といっても、それほど冊数を読んだわけではなく、すでに読んだことのある短篇作品を読み返したり、気の向くままに長篇を拾い読みしているだけなのだが。そんな気安さが、とても心地よ…

きことわ

確実な選書眼を持つ友人が激賞しているのを知って、興味を持った本。「芥川賞」という単語を耳にするたびに、生田耕作の書いた「芥川賞などを追いかけるくらいなら、古典でも読み返しているほうが余程良い」という言葉を思い起こすほど、賞自体にはまるで興…

ミラノ 霧の風景

色々とやらなければならないことが貯まってしまって、まったく本を読めずにいた。これじゃあいかん、と思ってなにかを開いてみても、文体であるとか句読点の置き方、あるいは漢字が開かれているか、といった細かいことにばかり神経が向かってしまって、肝心…

ユルスナールの靴

ろくに連絡も寄越さない息子の様子をうかがうのと、年末のバカンス気分を少しでも堪能しようというつもりで、パリまで駆けつけてくれた母が、帰りの飛行機のなかで読もうと思ってるの、といいながら差しだしてみせた一冊。もう読んだ? と聞かれ、読んでない…

船乗りクプクプの冒険

またまた友人に薦められた一冊。僕が普段日本文学を読まないことに気を使って、わざわざどんな読書嫌いにも読みきれるような作品を選んでくれたようだ。海外文学にどっぷり漬かっていると、たまに読む日本文学がものすごい疾走感を持っているように感じられ…

詩の本

友人に自慢されて欲しくなった谷川俊太郎の新刊。彼はこの本の刊行記念朗読会に参加し、谷川さんご本人に色々と質問をする機会を得たという。羨ましい。僕なら何を聞くだろうか。 詩の本 作者: 谷川俊太郎 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2009/09 メディア…

萩原朔太郎詩集

わがホームタウン吉祥寺を代表する詩人が、薦めてくれた朔太郎。彼は萩原朔太郎の詩集に出会った日、それをマクドナルドにて徹夜で読み、そして翌朝、辞表を携えて当時の職場へ向かったそうだ。「俺は詩人なんだ」と気付かされたと、彼は笑いながら話してく…

病牀六尺

先日紹介した宮脇俊三の『時刻表2万キロ』に続く、我らが読書会の第二回課題図書。他のメンバーが中々手に取らなさそうな本を持ち回りで紹介し、課題として挙げる会である。 病牀六尺 (岩波文庫) 作者: 正岡子規 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1984/07…

1999

死の三ヶ月前に刊行された、戦後を代表する詩人田村隆一の最後の詩集。 詩集 1999 作者: 田村隆一 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 1998/05 メディア: 単行本 クリック: 3回 この商品を含むブログ (8件) を見る 田村隆一『1999』集英社、1998年。

終の住処

磯崎憲一郎の第四作目であり、芥川賞受賞作品。書き下ろしの短篇「ペナント」を追加した上で早くも単行本化。 終の住処 作者: 磯崎憲一郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2009/07/24 メディア: 単行本 購入: 9人 クリック: 150回 この商品を含むブログ (96…

ノラや

猫を愛する気持ちを書き綴った、所謂「猫文学」の中でも最高の一冊。 ノラや (中公文庫) 作者: 内田百けん 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 1997/01/18 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 90回 この商品を含むブログ (127件) を見る 内田百閒『ノラ…

時刻表2万キロ

友人たちと読書会のようなものを開くことになった。月毎に課題図書を策定して、それを各自が読む。そして毎月の会合の際に感想を語り合うのだ。課題図書はメンバーの一人が当番制で推薦する。四人しかいない上に、みんな凄まじい読書家だから、安心して推薦…

幻・方法

1959年に刊行された吉野弘の第二詩集の復刻版。第二、とは言っても第一詩集の『消息』は少部数の自費出版本で、この詩集『幻・方法』にその三分の二が再録されている。 幻・方法 (愛蔵版詩集シリーズ) 作者: 吉野弘 出版社/メーカー: 日本図書センター 発売…

吉野弘詩集

本について文章を書くと、その本に与えられる記憶が固定化されてしまう。自分が感じたことの記録が残せるという長所はあるにせよ、固定化は時に僕を臆病にする。詩集について何かを書くのが恐ろしいのだ。もしかしたら明日寝る前にちらりと読む詩が、これま…

学問

先月末に刊行されたばかりの、山田詠美の新刊。今年は彼女にとってデビュー25周年目にあたる節目の年だ。 学問 作者: 山田詠美 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2009/06/30 メディア: 単行本 購入: 3人 クリック: 73回 この商品を含むブログ (71件) を見る …

ゆう/夕

谷川俊太郎の詩と吉村和敏の写真が同時に楽しめる、『あさ/朝』の姉妹本。 ゆう/夕 作者: 谷川俊太郎,吉村和敏 出版社/メーカー: アリス館 発売日: 2004/11 メディア: 単行本 購入: 2人 クリック: 5回 この商品を含むブログ (11件) を見る 谷川俊太郎『ゆう…

あさ/朝

左からみると絵本、右から読むと詩集になっている、谷川俊太郎と写真家吉村和敏によるビジュアルブック。 あさ/朝 作者: 谷川俊太郎,吉村和敏 出版社/メーカー: アリス館 発売日: 2004/07 メディア: 単行本 購入: 4人 クリック: 43回 この商品を含むブログ (…

詩のこころを読む

日本の詩が気になって仕方がないのだが、なかなかどこから手をつけたら良いのかわからない。そんな時に出会った岩波ジュニア新書の一冊。 詩のこころを読む (岩波ジュニア新書) 作者: 茨木のり子 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1979/10/22 メディア: 新…

二十億光年の孤独

現代の大詩人、谷川俊太郎のデビュー詩集。1952年にこの詩集が刊行された時、谷川はまだ21歳だった。 二十億光年の孤独 (集英社文庫 た 18-9) 作者: 谷川俊太郎,川村和夫,W.I.エリオット 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2008/02/20 メディア: 文庫 購入: 1…

世紀の発見

磯崎憲一郎の最新刊。表題作と「絵画」という短い作品が一冊にまとめられたもの。 世紀の発見 作者: 磯崎憲一郎 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2009/06/13 メディア: 単行本 購入: 2人 クリック: 14回 この商品を含むブログ (21件) を見る 磯崎憲一…

詩人からの伝言

今月刊行されたメディアファクトリー文庫の一冊。まさか自分がMF文庫を買う日が来るとは、思っていなかった。 詩人からの伝言 (MF文庫ダ・ヴィンチ) 作者: 田村隆一/長薗安浩 出版社/メーカー: メディアファクトリー 発売日: 2009/06/23 メディア: 文庫 購…

眼と太陽

磯崎憲一郎の第二作目。『肝心の子供』とは随分趣の異なる、「私」によって語られるアメリカの日々。 眼と太陽 作者: 磯崎憲一郎 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2008/08/02 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 20回 この商品を含むブログ (20件)…

肝心の子供

「身体性を持ったボルヘス」と保坂和志に絶賛された作家、磯崎憲一郎のデビュー作であり、第44回文藝賞受賞作。 肝心の子供 作者: 磯崎憲一郎 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2007/11/16 メディア: 単行本 購入: 4人 クリック: 49回 この商品を含む…

A2Z

先日『ぼくは勉強ができない』を絶賛したばかりだが、個人的に最高傑作だと思っているのは実はこの『A2Z』だ。 A2Z (講談社文庫) 作者: 山田詠美 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2003/01/15 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 25回 この商品を含むブログ…

ぼくは勉強ができない

山田詠美の代表作とも言える、連作短篇集。最近山田詠美ばかり読んでいるのは仕事の都合なのだが、彼女の作品を読んでいるとそんなことは忘れてしまう。 ぼくは勉強ができない (新潮文庫) 作者: 山田詠美 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1996/03/01 メディ…

ラビット病

1990年に刊行された、普段のものとはかなり違った趣の山田詠美。 ラビット病 (新潮文庫) 作者: 山田詠美 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1994/10/28 メディア: 文庫 クリック: 11回 この商品を含むブログ (35件) を見る 山田詠美『ラビット病』新潮文庫、1…

プレーンソング

三人の友人たちから別々のタイミングで薦められて、読みたくなった本。薦められる本ばかり読んでいたら中々自分の読書が出来なくなってしまうのだが、薦めてくれた人の顔を思い浮かべながら本が読めるのは楽しい。 プレーンソング (中公文庫) 作者: 保坂和志…

枯木灘

「岬」から二年後の紀州を描いた、「秋幸三部作」の第二作目。 枯木灘 (河出文庫 102A) 作者: 中上健次 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 1980/06 メディア: 文庫 購入: 17人 クリック: 131回 この商品を含むブログ (111件) を見る 中上健次『枯木灘』…

友人たちの強い薦めがあって手に取った、中上健次の秋幸三部作、第一作目。 岬・化粧他―中上健次選集〈12〉 (小学館文庫) 作者: 中上健次 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2000/06 メディア: 文庫 クリック: 2回 この商品を含むブログ (6件) を見る 中上健…

風味絶佳

先日『蝶々の纏足・風葬の教室』を読み返してから、何だか自分の中で評価が急上昇した山田詠美の短編集。 風味絶佳 作者: 山田詠美 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2005/05/15 メディア: 単行本 クリック: 24回 この商品を含むブログ (310件) を見る 山…

1Q84

発売から巷を騒がせている話題の新刊。元々こんなに早く読むつもりはなかったのだが、下記の事情で手に取った。 1Q84 BOOK 1 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2009/05/29 メディア: 単行本 購入: 45人 クリック: 1,408回 この商品を含むブロ…

私のギリシャ神話

小説家の阿刀田高が語る、予備知識ゼロから楽しめるギリシャ神話。語り口があまりに軽妙過ぎて発売当初に一度読んでいるのに、面白くあっという間に再読できた。 私のギリシャ神話 (集英社文庫) 作者: 阿刀田高 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2002/12 メ…

芋虫

昨年角川文庫から発行され始めたばかりの「江戸川乱歩ベストセレクション」、第2巻。 芋虫 江戸川乱歩ベストセレクション2 (角川ホラー文庫) 作者: 江戸川乱歩 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング 発売日: 2008/07/25 メディア: 文庫 購入: 3人 …

草迷宮

稲垣足穂の『山ン本五郎左衛門只今退散仕る』を読んで以来ずっと読みたかった、泉鏡花の代表作。 草迷宮 (岩波文庫) 作者: 泉鏡花 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1985/08/16 メディア: 文庫 購入: 7人 クリック: 44回 この商品を含むブログ (28件) を見…

夜のミッキー・マウス

「詩集の読み方がわからない」と、人に言われることがある。僕もそんなに読んでないよ、と言いつつ、「好きなように読めばいいんじゃないかな」と答える。俳句や和歌だって詩なのだし、瞬時に全てが呑み込める詩なんて、そうそうない。詩にまつわる叙情なん…

ちくま日本文学 稲垣足穂

ちくま日本文学シリーズの二冊目として手に取ったのは、稲垣足穂。初タルホ。タルホデビューである。タルホイックな世界に、初めて触れた。 稲垣足穂 [ちくま日本文学016] 作者: 稲垣足穂 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2008/05/08 メディア: 文庫 購入…

風立ちぬ・美しい村

静かに流れる美しい文章。堀辰雄の代表的中篇、二編。 風立ちぬ・美しい村 (新潮文庫) 作者: 堀辰雄 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1951/01/29 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 229回 この商品を含むブログ (60件) を見る 堀辰雄『風立ちぬ・美しい村…

月光とピエロ

メロディを知らなくても唄い出してしまいそうになる、堀口大學による最初の自作詩集。 月光とヒ゜エロ (愛蔵版詩集シリーズ) 作者: 堀口大学 出版社/メーカー: 日本図書センター 発売日: 2006/02/25 メディア: 単行本 クリック: 4回 この商品を含むブログ (2…

敗れし國の秋のはて

堀口大學の父、外交官であった堀口九萬一の人生を追った評伝。 敗れし國の秋のはて 評伝 堀口九萬一 作者: 柏倉康夫 出版社/メーカー: 左右社 発売日: 2008/10/06 メディア: ハードカバー クリック: 5回 この商品を含むブログ (9件) を見る 柏倉康夫『敗れし…

ちくま日本文学 江戸川乱歩

日本文学を全く読んでいない私を導いてくれるであろうシリーズ、文庫版『ちくま日本文学』。ほとんどが一人の作家の短編集となっており、作品の選択には編者たちのこだわりが窺える。それらの一冊として出された、江戸川乱歩集。 江戸川乱歩 (ちくま日本文学…

虹消えず

翻訳者である以上に詩人であった堀口大學の、多彩な活動を俯瞰できる一冊。 虹消えず 作者: 堀口大学 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1983/03 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 堀口大學『虹消えず』新潮社、1983年。

お伽草紙

古典や民話を題材にして中期の太宰が著した、新しいお伽噺の数々。 お伽草紙 (新潮文庫) 作者: 太宰治 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2009/03 メディア: 文庫 購入: 4人 クリック: 47回 この商品を含むブログ (77件) を見る 太宰治『お伽草紙』新潮文庫、…