Riche Amateur

「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

パレード

友人に薦められて手にした本です。これまで吉田修一の著作を読んだことはなかったのですが、素晴らしく文章が上手いと思いました。

パレード (幻冬舎文庫)

パレード (幻冬舎文庫)

 

吉田修一『パレード』幻冬舎文庫、2004年。


都内のマンションに同居する五人の若者の話です。それぞれの登場人物が主体となる五つの章から成っています。

章ごとに主体が変わりながら日常が進行していき、同じ事象が主体が違うだけでどれだけ異なった側面を見せるかを教えてくれる作品です。
主人公たちの個性も見事で、何よりこの五人を一人の作家が描いているということは俄かには信じられません。上手い。とてつもなく本質的な事柄を淡々と「軽い」と言えるような文体で描写しています。素晴らしいです。

何度も読み返したくなるような作品です。おすすめ。 

パレード (幻冬舎文庫)

パレード (幻冬舎文庫)