Riche Amateur

「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

飛ぶ教室

また天才に出会ってしまった。最初に彼を児童文学作家と呼んだのは一体誰だろう?
しかしそんなことはどうだっていい。一つだけ言えるのは、そいつは『飛ぶ教室』を読まなかったということだ。 

飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)

飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)

 

エーリヒ・ケストナー(丘沢静也訳)『飛ぶ教室』光文社古典新訳文庫、2006年。


登場人物の誰もが、あまりに格好良い。とにかく読んで欲しい。

禁煙さんがこんなことを言っていた。
「『野心をなくすな』なんて決まり文句は聞かせないでもらいたい。ぼくみたいに生きてる人間が少なすぎるだけなんだから。といって、もちろん、誰もが怪しげな居酒屋でピアノを弾くべきだ、なんて言ってるわけじゃないぞ。ただね、大切なことに思いをはせる時間をもった人間が、もっとふえればいいと思うだけだ。金や、地位や、名誉なんて、子どもっぽいものじゃないか。おもちゃにすぎない。そんなもの、本物の大人なら相手にしない」(160ページ)

ケストナー。全部読もう。 

飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)

飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)