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Riche Amateur

「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

ほんわか!

配架-本の本・文芸評論 評価-★★☆☆☆(好き)

吉祥寺のブックス・ルーエに立ち寄った際に、うっかり買ってしまった本。しかも、うっかり読んでしまった。たまにこういった軽めのエッセイが読めると、精神が健全に保てる気がして嬉しい。

北尾トロ『ほんわか! 本についてわからないこと、ねほりはほり!』メディアファクトリー文庫、2008年。


つい先日、田村隆一『詩人からの伝言』を揚げて「まさか自分がメディアファクトリー文庫を読むことになるとは」と言っていたのに、あっさり二冊目である。誰でも目に付く場所にメディアファクトリー文庫の一冊を面出ししている書店なんてルーエくらいのものだ。その気概に敬意を表する意味も込めて、買ってしまったのである。

実は北尾トロの本を読んだのは初めてである。本好きとしては気になるタイトルの本を沢山出しているだけに、もっと早く手に取っても良さそうなものだが。今回は立ち読み中に開いた目次に完全にやられてしまった。第三章に「誰も教えてくれなかった「寝室読書術」入門」というのがあったのだ。これは気になる。Yomuparaという読書グッズ専門店を愛用しているくらいだ。気にならないわけがない。

以下、目次を列挙。

第一章 カラダを張って、ねほりはほり!
  読書好きはモテるのか?
  本を売るのもガッツだぜ!?
  失われちまったあの一冊を、その胸に
  捨てられ消えゆく本に愛の挽歌を
  チリ紙交換に涙の別れを
第二章 出版界の気になるギモン、ねほりはほり!
  禁断の大人世界 官能小説のタイトルは、誰がどのようにつけているのか?
  車内吊り広告はなぜ乗客の目をクギ付けにするのか!?
  国境を越える“MANGA”たち ギャグは翻訳できるのか
第三章 本まわり小ワザ、ねほりはほり!
  手紙で女ゴコロはつかめるのか?
  母に捧げるバラード 思い出を「本」にしてあの人に贈る方法
  誰も教えてくれなかった「寝室読書術」入門
第四章 こんなとこまで行って、ねほりはほり!
  本好きたちのマンハッタン駆けずり紀行
  神戸復興のシンボルは書店だった!?
  女性たちはなぜ「お遍路さん」に旅立つのか

かなり多岐にわたるテーマが、軽すぎるテンポで短くまとめられているのが良い。ところどころ内容がくだらなすぎて妙に冷めながら読んでしまったが、冷めていてもページはどんどん進むし、話題もすぐに変わるので全く苦ではない。

寝室読書は本好きなら誰もが悩む問題である。いかにして快適な読書空間を作り上げるか、躍起になっていると言ってもいい。誰もが自己流の方法を採らざるを得ないテーマの分、他の人たちがどうしているかを知れて興味深かった。この本によると、仰向け・うつぶせは完全にアウト。ベストは横向きで、そこまでだったら個人的にも体感していたが、さらに首に巻くタイプの枕で頭の高さを調整し、腕の間と足の間には抱き枕を挟むことで随分快適な読書ができるそうだ。首に巻く枕なんてどこで手に入るんだろう。ちょっと探してみたいと思った。

他にも「車内吊り広告はなぜ乗客の目をクギ付けにするのか!?」ではAERAの吊り広告のダジャレがどういうシステムで生まれているかの記載があったし、「国境を越える“MANGA”たち ギャグは翻訳できるのか」では洋書コミックがいかにして作られているかが説明されていて勉強になった。仕事でしょっちゅう手に取っている出版社「Viz」が小学館集英社が協同で立ち上げた海外事業部だとは知らなかった。だから講談社インターナショナルが単独でコミックを出しているのか、と頷いた。「本好きたちのマンハッタン駆けずり紀行」では今の職場の上司の名前が書かれていてこちらの目が飛び出そうになったし、「禁断の大人世界 官能小説のタイトルは、誰がどのようにつけているのか?」はタイトルの通りの内容で面白かった。

本好きの人なら気になる内容満載の、しかも非常に気安く手に取れる一冊。おすすめというほどのものでもないところがまた良い。気軽にどうぞ。