ダンス・ダンス・ダンス
読み終わってから深く考えさせられる小説がある。読んでいても何も感慨の湧かない小説もある。
しかし、これはそのどちらでもない。
村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』講談社文庫、2004年。
『羊をめぐる冒険』で締めくくられる「青春三部作」の四作目。三部作の全てがそうであるように、一つずつが一個の小説として独立した作品。
村上春樹が好きでも、かなり好みが分かれる作品です。
読んでいる最中には深く考えさせられるのに、読み終わってみて何も残っていない。そのかわりに、読み終わってしばらくしてから、猛烈に読み返したくなる作品。
すごい小説です。読み終わってからも仲々その世界観を手放せない。より楽しむためには「青春三部作」の読破が求められますが、大して重要ではありません。