Riche Amateur

「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

ワセダ三畳青春記

一人旅をしている最中に立ち寄った、岩手は盛岡の「さわや」という本屋で、強く薦められていた本です。

「さわや」はポップの多い、今時珍しく趣味の匂いのする素敵な本屋で、このお店のブックカバーがまた何とも言えず素敵でした。こんな言葉が書いてあります。

  わたしは、
  わたしの
  住む
  街を
  愛したい
  
  手あかに
  まみれた
  一冊の
  本のように。

ワセダ三畳青春記 (集英社文庫)

ワセダ三畳青春記 (集英社文庫)

 

高野秀行『ワセダ三畳青春記』集英社文庫、2003年。


著者自らが11年間にわたって住み続けた、早稲田大学の正門から徒歩五分の位置にある木造アパート「野々村荘」。
入居から2000年に出るまでの11年間、家賃が一円も上がらなかった月一万二千円の三畳間。
その下宿型二階建て木造アパートに住む奇異な人達の織り成す珍騒動の数々が描かれています。

ドラッグに興味を持って麻の実やらウバタマサボテンやらチョウセンアサガオやらに手を出す著者、司法試験浪人を続ける熱血漢ケンゾウさん、物や時間の全てを惜しむ「守銭奴」など、実話でしかありえないような滑稽な話の連続です。

僕の個人的な嗜好としては、タロット遊びが興じて占い屋を開く話が好きです。

笑いの絶えない一冊です。あっという間に読み終わってしまって、惜しいくらいでした。
「さわや」と同様に、僕も猛烈にプッシュすることになりました。
オススメです。

ワセダ三畳青春記 (集英社文庫)

ワセダ三畳青春記 (集英社文庫)