飛ぶ教室
また天才に出会ってしまった。最初に彼を児童文学作家と呼んだのは一体誰だろう?
しかしそんなことはどうだっていい。一つだけ言えるのは、そいつは『飛ぶ教室』を読まなかったということだ。
エーリヒ・ケストナー(丘沢静也訳)『飛ぶ教室』光文社古典新訳文庫、2006年。
登場人物の誰もが、あまりに格好良い。とにかく読んで欲しい。
禁煙さんがこんなことを言っていた。
「『野心をなくすな』なんて決まり文句は聞かせないでもらいたい。ぼくみたいに生きてる人間が少なすぎるだけなんだから。といって、もちろん、誰もが怪しげな居酒屋でピアノを弾くべきだ、なんて言ってるわけじゃないぞ。ただね、大切なことに思いをはせる時間をもった人間が、もっとふえればいいと思うだけだ。金や、地位や、名誉なんて、子どもっぽいものじゃないか。おもちゃにすぎない。そんなもの、本物の大人なら相手にしない」(160ページ)
ケストナー。全部読もう。