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「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

ハックルベリ・フィンの冒険

マーク・トウェインによる『トム・ソーヤーの冒険』の続編。

ハックルベリ・フィンの冒険―トウェイン完訳コレクション (角川文庫)

ハックルベリ・フィンの冒険―トウェイン完訳コレクション (角川文庫)

 

マーク・トウェイン(大久保博訳)『ハックルベリ・フィンの冒険』角川文庫、2004年。


前作の主人公トム・ソーヤーとは対称的に、アメリカ的ではない、ハックルベリ・フィン。自由を求める冒険の結末が、あまりにもアメリカ的だったことが心残りではあった。

「暗くなると、おいらは焚き火のそばに座ってタバコを吸った。そして、すごくいい気分になった。だが、そのうちに何だか、さびしくなってきた。そこで、土手のところへ行って腰をおろすと、流れが岸辺をあらう音に耳をかたむけたり、星をかぞえたり、流れ木や、くだってくる筏をかぞえたりした。そして、そのうちに眠ってしまった。これが一番いい時間のつぶしかたなんだ。さびしいときにはな。いつまでも、そんな気持ちではいないんだ。さびしさなんか、すぐに忘れちまうんだ(86ページ)」。

 「体はブルブルと震えていた。なぜって、おいらは決めなきゃならなかったからだ、永久に、二つのうちのどちらかをだ。そして、そのことは、自分でも分かっていた。おいらは、チョットのあいだ、考えた。息は止まっているようだった。そのうちに、おいらは、心の中でこう言った。
「よし、それなら、オレは地獄に行こう」(467ページ)」。

ハックは格好良い。

ハックルベリ・フィンの冒険―トウェイン完訳コレクション (角川文庫)

ハックルベリ・フィンの冒険―トウェイン完訳コレクション (角川文庫)

 
トム・ソーヤーの冒険―トウェイン完訳コレクション (角川文庫)

トム・ソーヤーの冒険―トウェイン完訳コレクション (角川文庫)