Riche Amateur

「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

さらば愛しき女よ

他人を心から愛するとは、一体どういうことなのか。あまりにも悲劇的な、チャンドラーの傑作。

レイモンド・チャンドラー(清水俊二訳)『さらば愛しき女よ』ハヤカワHM文庫、1976年。


ある女性をめぐった事件は悲劇的に幕を降ろす。フィリップ・マーロウの冷静な目と、大鹿と呼ばれる男の燃えるような想い。チャンドラーの描く作品では意外と言えるほどにロマンチシズムの溢れた長編。

さらば愛しき女よ。この言葉の重みに読み終わってようやく気がついた。