Riche Amateur

「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

バルザックと小さな中国のお針子

在仏中国人によってフランス語で書かれた、ロマンチシズムとリアリズムの併存する作品。

バルザックと小さな中国のお針子 (ハヤカワepi文庫)

バルザックと小さな中国のお針子 (ハヤカワepi文庫)

 

ダイ・シージエ(新島進訳)『バルザック小さな中国のお針子』ハヤカワepi文庫、2007年。


文革期の中国、「再教育」の名の下に地方のプロレタリアたちに預けられた都市の知識人青年たちの過酷な労働と、禁書とされた海外文学との出会いが描かれる。
退屈な日常の中、彼らが手にしたのは「巴爾扎克=バルザック」。『ユルシュール・ミルエ』との出会いは二人の若者に文化大革命以上の革命的影響を与え、周囲にもその波紋は広がっていく。

「再教育」という過酷な現実の中で見つけた小説世界は何をもたらすのか。作品を通じて語られる海外文学の魅力、魔法使いとしての作家、そして翻訳の素晴らしさ。
愛書家によって描かれた、本がもっと好きになるような作品。

バルザックと小さな中国のお針子 (ハヤカワepi文庫)

バルザックと小さな中国のお針子 (ハヤカワepi文庫)