町でいちばんの美女
酔っ払いパンク爺再び。世界一下品な短編集。
チャールズ・ブコウスキー(青野聰訳)『町でいちばんの美女』新潮文庫、1994年。
これは膨大な短編を収録した原書「The Most Beautiful Woman In Town and Other Stories」の半分を翻訳したものである。もう半分は『ありきたりの狂気の物語』というタイトルで、同じく新潮文庫から出版されている。
苛立っている時にはブコウスキーを読みたくなる。しかし、この短編集を通して読むと、もう当分読みたいとは思わない。駄作と良作の落差が凄まじいのだ。しかし、それがブコウスキーを読む上での楽しみでもある。
何だかんだ、ブコウスキーを読んでいると気持ちが安らぐ。苛立っていたことが馬鹿らしくなる。下を見て安心しているのかもしれない。そんな風に思わせる小説家はブコウスキーだけじゃないだろうか。やはり彼は天才なんだろう。
「……じゃあな、チャールズ、とうぶんあんたの顔はみたくないよ」(428ページ)