Riche Amateur

「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

町でいちばんの美女

酔っ払いパンク爺再び。世界一下品な短編集。

町でいちばんの美女 (新潮文庫)

町でいちばんの美女 (新潮文庫)

 

チャールズ・ブコウスキー(青野聰訳)『町でいちばんの美女』新潮文庫、1994年。


これは膨大な短編を収録した原書「The Most Beautiful Woman In Town and Other Stories」の半分を翻訳したものである。もう半分は『ありきたりの狂気の物語』というタイトルで、同じく新潮文庫から出版されている。

苛立っている時にはブコウスキーを読みたくなる。しかし、この短編集を通して読むと、もう当分読みたいとは思わない。駄作と良作の落差が凄まじいのだ。しかし、それがブコウスキーを読む上での楽しみでもある。

何だかんだ、ブコウスキーを読んでいると気持ちが安らぐ。苛立っていたことが馬鹿らしくなる。下を見て安心しているのかもしれない。そんな風に思わせる小説家はブコウスキーだけじゃないだろうか。やはり彼は天才なんだろう。

「……じゃあな、チャールズ、とうぶんあんたの顔はみたくないよ」(428ページ) 

町でいちばんの美女 (新潮文庫)

町でいちばんの美女 (新潮文庫)