Riche Amateur

「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

高慢と偏見

恋愛小説とは何か。その答えは、200年前に我々の前に現れていた。 

高慢と偏見 上 (ちくま文庫 お 42-1)

高慢と偏見 上 (ちくま文庫 お 42-1)

 

ジェイン・オースティン(中野康司訳)『高慢と偏見ちくま文庫、2003年。


訳が素晴らしい。読みやすさは現代の恋愛小説を上回る勢いで、ジェイン・オースティンの文章に秘められたユーモアも、拍車をかけ続ける。

「いいことだらけの計画なんて実現するわけない。すこしは不安の種を残した計画のほうが、失望しないですむんだわ(下巻、60ページ)」

名作とはこういうことだ。
名訳とはこういうことだ。
恋愛とはこういうことだ。

優れた人物描写が演出する愛らしい登場人物たち。ジェイン・オースティンは、本当に美しい文章を書く。

高慢と偏見 上 (ちくま文庫 お 42-1)

高慢と偏見 上 (ちくま文庫 お 42-1)

 
高慢と偏見 下 (ちくま文庫 お 42-2)

高慢と偏見 下 (ちくま文庫 お 42-2)