Riche Amateur

「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

分別と多感

ジェイン・オースティンによる傑作恋愛小説の新訳。

分別と多感 (ちくま文庫)

分別と多感 (ちくま文庫)

 

ジェイン・オースティン(中野康司訳)『分別と多感』ちくま文庫、2007年。


「分別」のある姉エリナーと、「多感」な妹マリアン。二人がそれぞれ全く違った姿勢で男性を愛していく、英文学の傑作。

マリアンは「人間は一生に一度しか恋はできない」と言い、
エリナーは「ただひとりの人を一生愛しつづけるというのは魅力的だし、人の幸せはひとりの人だけを愛することにかかっているというのも一理はあるけど、絶対にそうでなければいけないというわけではないし、絶対にそうだと言うのは間違ってるし、だいいちそんなことは無理な話よ」と言う。

ジェイン・オースティンの小説に登場する人物は本当に個性が強い。脇役でも、彼らが小説の外の世界でどのように生活しているかを容易に想像できるほど、個々人が生き生きとしている。これはディケンズにも言えることで、英文学のある種の特徴なのかもしれない。

秀逸。 

分別と多感 (ちくま文庫)

分別と多感 (ちくま文庫)