Riche Amateur

「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

老人と海

アメリカ文学の旗手、ヘミングウェイによる中編。

老人と海 (新潮文庫)

老人と海 (新潮文庫)

 

アーネスト・ヘミングウェイ(福田恒存訳)『老人と海新潮文庫、1966年。


ヘミングウェイの描く世界は、本当に入り込みやすい。「かれは年をとっていた」と始まるこの小説の冒頭が、凄まじい情報量を秘めているかのように思えてくる。

リアルでスリリングな描写は、まるで慣性の法則のように読むスピードをどんどん速める。僕はこの小説の大半をあるファミリーレストランで読んだ。ドリンクバーのおかげで飲み物は十分過ぎるほどだったのに、それでも読みながら喉が渇いた。あるいは途中から、飲むことを忘れていたのかもしれない。

本の薄さに似合わない、重厚な本だった。

老人と海 (新潮文庫)

老人と海 (新潮文庫)