こんな書店で本を買いたい
業界研究の一環として手に取った本。
池田良孝『こんな書店で本を買いたい』日本経営協会総合研究所、2000年。
正直、どんな人達を読者に想定しているのかわからなかった。本屋が好きな人達が相手ならもっと他の方法があっただろうし、業界人向けならばもう少し専門的なことが書けただろう。どっちつかずのまま一冊の本になってしまった感が否めない。誤植も多い。
ただ、様々な書店の経営努力が紹介されているのは参考になる。椅子が置いてあるジュンク堂や、雑貨を揃えているヴィレッジ・ヴァンガードといった、常識となっていることの紹介も多いが、売場で使えるものもいくつかあった。
例えば「コミュニケーション・ボード」なるものを設置し、顧客同士の交流をはかる書店や(151ページ)、ポップに担当者の名前を書くことで顧客獲得を目指すなど(178ページ)、面白い意見も多い。
一つ一つの項が短く、テーマも多岐に渡るため、内容の単純さの割に一気に読むことができない。誤植もテンポを悪くしている。
個人的には物足りなかったが、基礎的な知識を学びたい人や、本屋が好きな人には薦められる。業界研究には向かないが、テーマ自体は面白い本。