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「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

チャリング・クロス街84番地

ニューヨークに住む愛書家の女性が、ロンドンの古本屋に本を注文したことによって始まった往復書簡集。 

チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本 (中公文庫)

チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本 (中公文庫)

 

ヘレーン・ハンフ編著(江藤淳訳)『チャリング・クロス街84番地』中公文庫、1984年。


『古書店めぐりは夫婦で』のように、古書店の魅力が凝縮され、本がもっと好きになるような本。ヘレーンの無茶な注文の数々に、さりげないユーモアを文面に表しながら快く応えるロンドンの古書店。二十年の歳月によって培われた彼らの友好は、ひどく詩的で素晴らしいものである。

本人が何度も文中で主張するように、ヘレーンの好むのは文学ではなく詩や随筆、人文書やノンフィクションである。まるで『古書店めぐりは夫婦で』と対を成すかのように、それぞれに取り上げられる本が異なっており、比べてみると面白い。個人的には『古書店~』の趣向の方が合致しているが、また読みたい本が増えたことを嬉しく思う。

古書に関するノンフィクションで、今のところハズレにあたったことがない。 

チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本 (中公文庫)

チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本 (中公文庫)

 

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