Riche Amateur

「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

番線

暴れん坊本屋さん』を紹介しそこなっていたので、新刊で補填。

番線―本にまつわるエトセトラ (ウンポコ・エッセイ・コミックス)

番線―本にまつわるエトセトラ (ウンポコ・エッセイ・コミックス)

 

久世番子『番線 ~本にまつわるエトセトラ~』新書館、2008年。


書店の内情を描いた『暴れん坊本屋さん』とは異なり、副題の通り本にまつわる様々な話をエッセイ調に収めたもの。『暴れん坊本屋さん』の面白さは実地で働いてこそ本当の意味で理解できるものだったが、こちらは本好き一般が対象となっているため仕事のことを思い出すことなく読むことができる。

教科書図書館を紹介したものや、国立国会図書館の内部など、普段踏み込むことのない(あるいはできない)本の舞台が紹介されていて面白い。辞書編集や校正の仕事など、書店で働いているだけでは知りえない苦労が伝わってくる。

本にまつわるエッセイは数多いが、こんな風に幅広く本を取り巻く世界を紹介したものは少ないのではないか。それも、コミックである。個人的には文芸評論の棚に置いてみたいものだ。

本好きな人は大いに満足できるはず。 

番線―本にまつわるエトセトラ (ウンポコ・エッセイ・コミックス)

番線―本にまつわるエトセトラ (ウンポコ・エッセイ・コミックス)