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「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

旅に出ても古書店めぐり

一年前に絶賛した『古書店めぐりは夫婦で』の続編。

旅に出ても古書店めぐり (ハヤカワ文庫NF)

旅に出ても古書店めぐり (ハヤカワ文庫NF)

 

ローレンス&ナンシー・ゴールドストーン(浅倉久志訳)『旅に出ても古書店めぐり』ハヤカワNF文庫、2001年。


前作を評した時に、需要がないから続編の訳書は出ないだろうと書いたが、その直後に友人から指摘を受け、この本の存在を知った。

「「あれはスナグズビー」とケヴィンがいった。
 「スナグズビー?」
 「『荒涼館』にちなんで。ほら、法廷弁護士のスナグズビー&スナグズビー。エドワード七世時代の法廷弁護士に似てると思って名づけたんだがね」」(70ページ)

愛書家を喜ばせるような描写が至るところに見られるのは前作と同様。だが、続編となる今回は著者の二人が既に古書とのドラマチックな出会いを体験した後、且つそれを書き記した後のため、前作と比した時にストーリー性が圧倒的に足りない。単なる古書にまつわるエッセイに終始してしまった感が拭えず、最早無条件に薦められるものでもなくなっている。残念なことだ。

 

三冊目が訳されていない理由がよくわかった。一作目は越えられていない。 

古書店めぐりは夫婦で (ハヤカワ文庫NF)

古書店めぐりは夫婦で (ハヤカワ文庫NF)

 
旅に出ても古書店めぐり (ハヤカワ文庫NF)

旅に出ても古書店めぐり (ハヤカワ文庫NF)