Riche Amateur

「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

エセー1

死ぬまでに絶対に読みたいと思っている本がいくつかある。いや、じつはいくつもある。そのリストには古典に数えられている作品がほとんどすべて入っていて、いっこうに短くなる気配を見せないどころか、日に日に肥大化してきているのだが、わたしの方針とし…

聖少女

すでに差し迫っている日までに、なんとしてでもこの作家の本を一冊読んでおかなければならない、という自分のうちに起こった強迫観念から手に取った一冊。必要に迫られた読書というのは、時間ばかりがかかって遅々として進まないものだが、この本に関しては…

ルネサンス書簡集

今年は自分のなかで、ユマニスムを知った記念すべき年となる気がする。エラスムスとの出会い以来、高まりつづけている関心を満たすべく手に取った、「ユマニスムの父」の書簡集。 ペトラルカ ルネサンス書簡集 (岩波文庫) 作者: 近藤恒一 出版社/メーカー: …

日常礼讃

先日ピーテル・デ・ホーホのことを書いて思い出した、以前フランス語で読んだ美術批評。わたしが「以前フランス語で読んだ」とわざわざ書いている本は、たいてい、そのため十分に理解できなかった本である。 日常礼讃―フェルメールの時代のオランダ風俗画 作…

神々は渇く

最近、何度も読み返したくなるようなぶっ飛んだ小説に出会ってないなあ、と考えていた矢先、きました、ぶっ飛んだ小説。こんなに夢中になってページを繰った読書体験は、じつに久しぶりな気がする。ぶっ飛んだ。 神々は渇く (岩波文庫 赤 543-3) 作者: アナ…

死刑執行人サンソン

すでに読んだことがある本を、それと気づかずに購入してしまったことはありませんか? そしてわくわくしながらページを開いて、ただならぬ既視感(というより、既読感)に襲われることはありませんか? ありますよね、いや、ぜったいあるはず。そんな懐かし…

死刑囚最後の日

プラトンを読んでいたときに思い出した一冊。すでに部分的にはフランス語で読んでいたのだが、最後まで読みたくなったので手に取った。 死刑囚最後の日 (岩波文庫 赤 531-8) 作者: ヴィクトル・ユーゴー,豊島与志雄 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1982/…

地獄

向田邦子のエッセイ『父の詫び状』のなかで、魅力が語られていた一冊。日本でもフランスでも、今ではほとんど忘れられてしまった作家、バルビュスが1908年に発表した作品。 地獄 (岩波文庫 赤 561-1) 作者: アンリ・バルビュス,田辺貞之助 出版社/メーカー: …