Riche Amateur

「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧

雑記:愛書家双書について

「Les Livrets du bibliophile(愛書家双書)」というシリーズをご存じだろうか。いや、知っている人はそうそういないだろうと思ったから記事にしているわけだが、これがまたとても魅力的な双書なのだ。

書物雑感

今日、神保町古本まつりに行った。昨年はフランスに住んでいたために行けず、親しい友人たちから親しさを呪いたくなるような自慢を受けていたので、ようやく仕返しをすることができるというものだ。そのなかでも自慢に価するのは、この一冊だと思った。ポー…

書痴談義

先日紹介した『愛書狂』の三年後に刊行された、生田耕作の編訳によるもうひとつの「愛書小説」アンソロジー。 書痴談義 作者: P.ルイス,生田耕作 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 1983/01 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る ピエール・ル…

罰せられざる悪徳・読書

ちょっと大変な本を読んでしまった。うっかりページを開いてみたが最後、読み終えるまで立ちあがることもできなかった(ほんとうはトイレに立ちました、念のため)。なんだろう、この大興奮! すばらしい本に出会ってしまった。 罰せられざる悪徳・読書 (み…

愛書狂

先日の『フランスの愛書家たち』に引き続き、喜び勇んで手に取った愛書家のための書物。とはいえこちらは奢覇都館の刊行物ではなく、それよりも以前の、白水社のもの。 愛書狂 (1980年) 作者: 生田耕作 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 1980/12 メディア: ?…

神様 2011

どこから書名を知ったのかも定かではないが、珍しく母が欲しがって、先日ジュンク堂池袋本店に寄った際に、土産として買ってきてあげた本。一読した母に薦められ、手に取ってみた。 神様 2011 作者: 川上弘美 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2011/09/21 メ…

和子の部屋

友人に魅力を熱弁されたのがきっかけで手に取った、阿部和重の対談集。7月末に刊行されたばかりの、『小説トリッパー』にて連載されていたコラムをまとめたもの。 和子の部屋 小説家のための人生相談 作者: 阿部和重 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: …

フランスの愛書家たち

ずっと以前に購入して読まずにいたのを、たまたま本棚の整理をしていたら見つけたので、嬉々として手に取ってみた。そしてあっというまに読み終えた。 愛書狂 (平凡社ライブラリー) 作者: G.フローベール,Ch.ノディエ,Ch.アスリノー,A.ラング,A.デュマ,Gusta…

尾崎放哉句集

短歌に興味を持ったことで、俳句という文化にも関心が向きはじめている。そこで思い出した、尾崎放哉。じつは数年前にも読んでいたのだが、そのときには文章にしなかったので、良い機会だと思って再読してみた。 尾崎放哉句集 (岩波文庫) 作者: 池内紀 出版…

若きウェルテルの悩み

アナトール・フランスの『神々は渇く』のなかで効果的に使われているのを見てから、読みたい読みたいと思っていた一冊。古典作品は関心が向いたら手に取れ、むしろ関心が向くまで手に取るな、を信条としているわたしとしては、今がそのタイミングだった。 若…

サリンジャーは死んでしまった

以前友人が紹介しているのを読んでから、とても興味を持っていた一冊。彼女が採った以上の方法で、この本の魅力を伝えられるとも思えず、いっそのこと文章をまるまる引用してやろうか、と思ったりもするのだが、それでは完全な剽窃となってしまうので、どう…

短歌の友人

なんだか無性に短歌のことが知りたくなって、初めて手に取ってみた穂村弘。 短歌の友人 (河出文庫) 作者: 穂村弘 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2011/02/04 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 12回 この商品を含むブログ (24件) を見る 穂村弘『…

消えた印刷職人

ルネサンス期のヨーロッパにおいて、印刷技術の発展がユマニスム運動の普及にもたらした影響を知りたいと思って手を伸ばした、16世紀の印刷職人物語。 消えた印刷職人―活字文化の揺籃期を生きた男の生涯 作者: ジャン・ジルモンフロワ,Jean‐Gilles Monfroy,…

饗宴

まだ前期作品群もぜんぜん読めていないというのに、関心が高じすぎて手に取ってしまった、プラトンの中期作品群を代表する一作『饗宴』。とはいえ、プラトンの平易な言葉づかいは前期作品のそれと変わることはなく、予備知識を蓄える必要などまったくないこ…

夢の通い路

ひょんなことから、最初の一篇「花の下」を読む機会があり、最後まで読んでみたいと思った連作短篇集。自分にとっては二冊目の倉橋由美子。 夢の通い路 (講談社文庫) 作者: 倉橋由美子 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1993/11 メディア: 文庫 クリック: 1…