Riche Amateur

「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

テーマ-盲目

Jorge Luis Borges: The Last Interview

先日『伝奇集』について書いた折、「記事にできるまで数週間かかるかも……」なんて言っていたボルヘスの対談集。まさか本当にこれほど時間がかかるとは思っていなかったのだが、いまわたしに起こっている空前のボルヘスブームは、じつはこの本が火付け役だっ…

3冊で広げる世界:盲人たちが見たもの

ホメロスには盲人だったという説がある。いや、そもそも「ホメロス」という言葉自体が、ギリシア語で「盲人」を意味するそうだ。2世紀の作家、自称ヘロドトス(あくまで自称であって、あの大著『歴史』を書いた紀元前5世紀のヘロドトスとは別人)の『ホメロ…

田園交響楽

先日の『クロイツェル・ソナタ』に引き続き、青柳いづみこの『六本指のゴルトベルク』に紹介されていて、どうしようもなく読みたくなった本。さすがは神西清、文字の大きさだけを変えつづける新潮文庫の海外文学のなかにあって、すこしも訳文が古びていない…

閉じた本

先日読んだサラマーゴの『白の闇』から連想して手に取った、盲目の作家を主人公に擁した小説。ペレックの『煙滅』を英訳した張本人でもあるギルバート・アデアの仕事である。 閉じた本 (創元推理文庫) 作者: ギルバート・アデア,青木純子 出版社/メーカー: …

白の闇

仕事の都合というかプライベートの都合というか、プライベートをも浸食する仕事の都合というか、まったく本を読む時間を持てなかった。半月も本を読めずにいると発狂しそうになる。だから今日仕事が一段落して、喫茶店に駆け込んだ時にこの本を開けた喜びは…

タイム・マシン

SF小説の不朽の古典であり、同時に最近私が気に入っているディストピア文学ともなっている「タイム・マシン」を収録した、ウェルズ初期の短篇集。 タイム・マシン 他九篇 (岩波文庫) 作者: H.G.ウエルズ,橋本槇矩 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1991/…