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Riche Amateur

「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

雑記:好きな作家ベスト100(2011年版)

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 友人たちと恒例にしている年末行事、公開した途端に後悔するおそるべきリスト、「好きな作家ベスト100」の2011年版を掲示します。

 もともとは「好きな作家はだれ? って聞かれると困るよね」という、なにげない会話が発端だったと思います。「何人まで答えていいの? って聞き返しちゃうよね、百人くらい挙げなきゃ気が済まないよね」という異常な会話が。それがいつのまにかランキング形式を採るようになり、すでにここで発表するのも三度目を迎えました。

 三度目ともなれば、もはやおそれるものはなにもありません。どうせ来年も再来年も更新するのだから、と思えば、なんだってできてしまうのです。たいせつなのは今日の気分を残すということ、すべての本を読むことなど到底できやしないのだから、来年好きになるかもしれない作家のことは、来年考えればいいのです。こうなるともう、どれだけ衒いを捨てることができるかが重要になってくるので、その主観オンリーの馬鹿正直ぶりが、また新たな後悔を生みます。


 ちなみに、過去のベスト5は以下のとおり。

  2010年:クノー、ケストナーチェーホフチェスタトンバタイユ
  2009年:クノー、ケストナーバタイユチェスタトンチェーホフ

 毎年いいわけのように言っていることですが、1位から20位くらいまでは全員1位、21位から50位くらいまでが全員2位、51位から100位までは全員3位です。はじめたばかりのころは、ランキング下位には一冊しか読んだことのないような作家ばかりが並んでいたものだったのですが、三年も続けていると、三、四冊読んだ作家でもランキングに入りきらないということが起こるようになりました。主観とはおそろしいもので、今年はマンディアルグやガルシア=マルケスヴォネガットミルハウザーなどが漏れてしまっています。ブコウスキーは、まあしょうがない。たぶん後悔するので、来年やるときにはまた復活するでしょう。

 とくに好きなものを一作品だけ挙げ、感想を書いたことがあればリンクを貼っていますが、これはあくまでも作家のランキングです。これまでと同様に、日本の作家は一人も入れていません(語れるほど読んでいないので。友人たちは和洋混合のものすごいランキングを作っているのですが、わたしにはそんな芸当はできません)。

 正直、もう上位のラインナップが変わることはないだろうと思っていたのですが、発表する前に告白してしまうと、今年はがらりと変わりました。急浮上した作家が、何人もいます。以下が、その全貌です。

■好きな作家ベスト100(2011年版)■
001.レーモン・クノー『サリー・マーラ全集』
002.エーリヒ・ケストナー『飛ぶ教室』
003.ペルハム・グランヴィル・ウッドハウス『ユークリッジの商売道』
004.フェルナンド・ペソア『不穏の書、断章』
005.ポール・ヴァレリー『ヴァレリー文学論』
006.アントン・チェーホフ『かわいい女・犬を連れた奥さん』
007.ギルバート・キース・チェスタトン『木曜日だった男』
008.ウィリアム・シェイクスピア『ハムレット』
009.ギュスターヴ・フロベール『感情教育』
010.ジョルジュ・バタイユ『空の青み』
011.エドワード・モーガン・フォースター『天使も踏むを恐れるところ』
012.ジャック・プレヴェール『プレヴェール詩集』
013.マルセル・プルースト失われた時を求めて
014.ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ『若きウェルテルの悩み』
015.アナトール・フランス『神々は渇く』
016.イタロ・カルヴィーノ『冬の夜ひとりの旅人が』
017.ジェイムズ・ジョイス『若い藝術家の肖像』
018.ミシェル・ド・モンテーニュ『エセー』
019.ホルヘ・ルイス・ボルヘス『創造者』
020.ルイス・キャロル『スナーク狩り』
021.ジャック・ルーボー『麗しのオルタンス』
022.ミゲル・デ・セルバンテス『ドン・キホーテ』
023.レイモンド・チャンドラー『さらば愛しき女よ』
024.ホメロス『イリアス』
025.デジデリウス・エラスムス『痴愚神礼讃』
026.ヴァレリー・ラルボー『罰せられざる悪徳・読書』
027.エドガー・アラン・ポー「邪鬼」『黒猫/モルグ街の殺人』
028.フランツ・カフカ「流刑地にて」『流刑地にて』
029.フランチェスコ・ペトラルカ『ルネサンス書簡集』
030.ロラン・バルト『明るい部屋』
031.ミラン・クンデラ『無知』
032.アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ『夜間飛行』
033.ヘルマン・ヘッセ『デミアン』
034.プラトン『ゴルギアス』
035.レーモン・ルーセル『ロクス・ソルス』
036.アルベール・カミュ『L'étranger』
037.アーネスト・ヘミングウェイ『移動祝祭日』
038.サミュエル・ベケット『ゴドーを待ちながら』
039.ハーマン・メルヴィル「バートルビー」『バートルビー』
040.ルイ=フェルディナン・セリーヌ『夜の果てへの旅』
041.アドルフォ・ビオイ=カサーレス『モレルの発明』
042.ギー・ド・モーパッサン「L'Endormeuse」『Apparition』
043.ギヨーム・アポリネール『アポリネール詩集』
044.ジョルジュ・ペレック「冬の旅」『風の薔薇5 ウリポの言語遊戯』
045.アルフレッド・ジャリ『超男性』
046.ウジェーヌ・イヨネスコ『La Cantatrice chauve suivi de La Leçon』
047.ロバート・ルイス・スティーヴンスン『新アラビア夜話』
048.ジョゼ・サラマーゴ『白の闇』
049.スタンダール『赤と黒』
050.ミヒャエル・エンデ『モモ』
051.ジャンニ・ロダーリ『二度生きたランベルト』
052.エステルハージ・ペーテル『ハーン=ハーン伯爵夫人のまなざし』
053.ヨシフ・ブロツキー『ヴェネツィア』
054.オウィディウス『変身物語』
055.イワン・ツルゲーネフ『父と子』
056.ロジェ・グルニエ「沈黙」『フラゴナールの婚約者』
057.ジェイン・オースティン『分別と多感』
058.ピエール・ルイス「女性のための社交術」『のぞき』
059.ジャン・コクトー『ポトマック』
060.レイ・ブラッドベリ『火星年代記』
061.ジュール・ヴェルヌ『八十日間世界一周』
062.マルセル・パニョル『Marius』
063.アンリ・バルビュス『地獄』
064.ミハイル・ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』
065.アラン・シリトー「漁船の絵」『長距離走者の孤独』
066.フョードル・ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』
067.ヴィクトル・ユーゴー『死刑囚最後の日』
068.オクターヴ・ユザンヌ「シジスモンの遺産」『書痴談義』
069.ニコライ・ゴーゴリ「鼻」『鼻/外套/査察官』
070.スチュアート・ダイベック「荒廃地域」『シカゴ育ち』
071.ジェローム・デイヴィッド・サリンジャー『キャッチャー・イン・ザ・ライ』
072.マルセル・エイメ「クールな男」『マルセル・エメ傑作短篇集』
073.ルクレティウス『物の本質について』
074.ジェローム・クラピカ・ジェローム『ボートの三人男』
075.レーモン・ラディゲ『肉体の悪魔』
076.ボリス・ヴィアン『日々の泡』
077.ウィリアム・トレヴァー「イエスタデイの恋人たち」『聖母の贈り物』
078.ルキアノス『遊女の対話』
079.マルキ・ド・サド『ソドム百二十日』
080.イアン・マキューアン『初夜』
081.ウラジーミル・ナボコフ『ディフェンス』
082.ジャン=ポール・サルトル『嘔吐』
083.オマル・ハイヤーム『ルバイヤート』
084.アンリ・ド・レニエ『水都幻談』
085.ジョージ・オーウェル『1984年』
086.ブノワ・デュトゥールトゥル『幼女と煙草』
087.ハーバード・ジョージ・ウェルズ「盲人国」『タイム・マシン』
088.アンドレ・ブルトン『ナジャ』
089.ディーノ・ブッツァーティ『シチリアを征服したクマ王国の物語』
090.カリンティ・フィレンツ『エペペ』
091.ケネス・グレーアム『たのしい川べ』
092.ジェイムス・クリュス『笑いを売った少年』
093.ジョン・アーヴィング『ピギー・スニードを救う話』
094.ダフネ・デュ=モーリア「モンテ・ヴェリタ」『鳥』
095.アゴタ・クリストフ『悪童日記』
096.エマニュエル・ボーヴ『ぼくのともだち』
097.マーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒険』
098.ボフミル・フラバル『あまりにも騒がしい孤独』
099.アール・ラヴレイス『ドラゴンは踊れない』
100.ラッタウット・ラープチャルーンサップ「ガイジン」『観光』

 以上、今年のランキングでした。去年は73位だったウッドハウスが奇跡の70人抜きを達成して3位、92位だったゲーテはさらに奇跡的な78人抜きをして14位となっています。ヴァレリーは初登場にしていきなり5位を獲得、アナトール・フランスも15位に入りました。

 ちなみに、おもしろ半分に作家たちの国籍別割合を数えてみたところ、以下のようになりました。

01.38人:フランス
02.14人:イギリス
03.9人:アメリカ
04.7人:ロシア
05.5人:ドイツ
06.4人:イタリア
07.3人:アイルランド古代ローマチェコハンガリー
11.2人:アルゼンチン、古代ギリシアポルトガル
14.1人:イラン、オランダ、スペイン、タイ、トリニダード・トバゴ

 フランス、多っ! と言いたいところですが、じつは過半数を占めると思っていたので、むしろ予想より少なかったです。アメリカが意外。なにせ今年は一冊もアメリカ文学を読めませんでした。なんたる偏り。

 好きな作家ランキングは、変われば変わるほど好ましいもの。来年もこれを激震させる作家と出会えますように。それではみなさま、よいお年をお迎えください。