テーマ-失書症
朝起きてすぐ、顔を洗ってコーヒーを湧かしたら、出勤前の時間をヴァレリーとともに過ごす、という生活を送っていた。過ごせる時間はもちろん早起きの度合いによりけりで、一時間のときもあれば三十分に満たない日もあった。そんなふうだから読書は遅々とし…
二ヶ月ほどかけてショーペンハウアーの『読書について』を何度も読んでいたら、彼が頻繁に引用する作家たちの名前をリストアップできるようになっていた。ホラティウス、アリストテレス、セネカ、そしてリヒテンベルクである。最初の三人はギリシア・ローマ…
感動した。わたしはいま、猛烈に感動している。過去に二度挑戦し、二度とも読破を諦めた本を、おおいに楽しみながら読むことができたからだ。自分が成長した部分も少なくないのかもしれないが、いまならこう断言できる。それはむしろ忍耐力と内容への関心の…
年末にパリのブックオフで大人げないほどの大人買いをした日本語書籍のうちの一冊。ロジェ・グルニエのフランス語書籍は残念ながらほとんどが絶版になってしまっていて、日本語のほうが遙かに見つけやすくなってしまっている。そのブックオフにはどういうわ…
ジョルジョ・アガンベンの論文「バートルビー 偶然性について」と、その主題であるメルヴィルの短編「バートルビー」の新訳を同時に収録した、大変気の利いた一冊。主題となる小説の短さが可能にした素晴らしい構成であり、さらに訳者による「バートルビーの…