2009-01-01から1年間の記事一覧
今年読んだ本のベストを決める試み。その年に刊行された書籍ではなく、その年に自分が出会った傑作を紹介するためのもの。今までは別の場所で公表していたものを、今年からはこの読書ブログに掲載する。ちなみに去年のベストはバタイユの『空の青み』、一昨…
公開した途端に後悔する、という、友人たちと実施している半年毎の恒例行事。好きな作家を100人挙げてあえてランキング形式にする、というもので、その時分の趣味が判りやすく反映される。作り終えた後には「忘れた作家がいるんじゃないか」という強迫観念に…
マキューアンの『初夜』を読んで読みたくなった、童貞と処女の恋を題材にしたローマ時代の古典。 ダフニスとクロエー (岩波文庫 赤 112-1) 作者: ロンゴス,松平千秋 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1987/03/16 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 20回 …
友人の強い薦めに従い手に取った、先月末に発売されたばかりのイアン・マキューアンの最新刊。 初夜 (新潮クレスト・ブックス) 作者: イアン・マキューアン,村松潔 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2009/11/27 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 62回 …
アゴタ・クリストフの『文盲』を読んでから言語をテーマにした文学を読みたいと思い、手に取った一冊。現代社会のディスコミュニケーションを題材にしたハンガリー文学、『エペペ』。 エペペ 作者: カリンティ・フェレンツ,池田雅之 出版社/メーカー: 恒文社…
吉祥寺のブックスルーエに立ち寄った時に薦められた一冊。どうやら彼は手当たり次第にこの新刊を推薦しているようだ。そんな気持ちになるのも理解できる、誰にも興味のあるテーマを論じた講談社現代新書の新刊。 ロボットとは何か――人の心を映す鏡 (講談社現…
『悪童日記』の著者アゴタ・クリストフによる自伝で、故国ハンガリーを離れ「敵語」であるフランス語によって著作を行うことを誓った作家の、人生を綴った書。 文盲 アゴタ・クリストフ自伝 作者: アゴタ・クリストフ,堀茂樹 出版社/メーカー: 白水社 発売日…
サミュエル・ベケットに才能を見出されミラン・クンデラの絶賛を受けたという、手を伸ばさずにはいられなくなるような評価を与えられた現代フランス作家ブノワ・デュトゥールトゥルの初めての邦訳作品。 幼女と煙草 作者: ブノワ・デュトゥールトゥル,赤星絵…
昨日、東京日仏学院で講演を行ったアルジェリア人がいる。ヤスミナ・カドラである。最新作『昼が夜に負うもの』の翻訳刊行記念講演会で、これが日本に紹介された三冊目の作品となった。翻訳作品は今のところアフガニスタン、パレスチナ、アルジェリアと小説…
今年の10月に刊行されたばかりの、ヤスミナ・カドラの翻訳三冊目。『カブールの燕たち』でアフガニスタン、『テロル』ではパレスチナを描いたアルジェリア出身作家が、とうとう描いたアルジェリアの世界。 昼が夜に負うもの (ハヤカワepiブック・プラネット)…
女性の名前という覆面の下に社会学者と作家という二つの顔を隠し持つ、ヤスミナ・カドラ。フランスに帰化したアルジェリア出身の作家で、最近三冊目の翻訳『昼が夜に負うもの』が刊行されたばかり。 テロル (ハヤカワepiブック・プラネット) 作者: ヤスミナ…
『時刻表2万キロ』、『病牀六尺』に続く読書クラブ「伝奇集会」の第三回課題図書。メンバーでの遠足を考慮に入れた、新しい観点による選書である。 水族館のはなし (岩波新書) 作者: 堀由紀子 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1998/08/20 メディア: 新書…
友人に自慢されて欲しくなった谷川俊太郎の新刊。彼はこの本の刊行記念朗読会に参加し、谷川さんご本人に色々と質問をする機会を得たという。羨ましい。僕なら何を聞くだろうか。 詩の本 作者: 谷川俊太郎 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2009/09 メディア…
吉祥寺の古本屋「百年」でとうとう手に入れた、欲しい本リスト最上段の主、ミッシェル・カルージュ。8400円という値段で購入したが、ネットの相場が20000円を容易く越えることを考えると、決して高くはない。むしろ安い。 独身者の機械 未来のイヴ、さえも・・…
ジャリの『超男性』に「ほらふき男爵」こと、ミュンヒハウゼン男爵の名が登場したのを機に手に取った一冊。古典はこういう機会を活用しないとなかなか読まない。 ほらふき男爵の冒険 (岩波文庫) 作者: ビュルガー,Guttfried August B¨urgar,新井皓士 出版社/…
最高の休日の過ごし方とは、古本屋をぶらぶらしながら選んだ本を、喫茶店に入ってすぐに読むことである。しかもそれが薄い本で、その勢いのまま読み終えることができたらもう何も言うことはない。 書痴談義 作者: P.ルイス,生田耕作 出版社/メーカー: 白水社…
ミッシェル・カルージュの『独身者の機械』がまるで見つからないので、溜飲を下げるつもりで手に取った一冊。『澁澤龍彦文学館 独身者の箱』にも収められた、元々は「小説のシュルレアリスム」シリーズとして刊行されていたアルフレッド・ジャリ。 超男性 (…
古本屋で高いお金を払って手に入れた、レーモン・クノーの最後の長篇小説。読みたい気持ちが高まり過ぎて、とうとう読んでしまった。 イカロスの飛行 (ちくま文庫) 作者: レーモン・クノー,Raymond Queneau,滝田文彦 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 1991…
『アフリカの印象』と『ロクス・ソルス』の訳者、岡谷公二によるレーモン・ルーセルの評論。1989年に新たに発見された『ロクス・ソルス』の異稿に含まれた一章「アディノルファの新たな発見」を収録。 レーモン・ルーセルの謎―彼はいかにして或る種の本を書…
『ロクス・ソルス』と共にレーモン・ルーセルの代表作に数えられる、奇想の一大博覧会。2007年に刊行されたばかりの平凡社ライブラリー版。 アフリカの印象 (平凡社ライブラリー) 作者: レーモンルーセル,Raymond Roussel,岡谷公二 出版社/メーカー: 平凡社 …
江戸川乱歩が『第二の顔』を絶賛したことによって知られる、奇想家マルセル・エイメの短篇集。 マルタン君物語 (ちくま文庫) 作者: マルセルエーメ,江口清 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 1990/04/24 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る …
職場の先輩が激賞していた、塚原史によるシュルレアリスム論。読む前に先輩が教えてくれた通り、トリスタン・ツァラの世界を知るための絶好の入門書だった。 ダダ・シュルレアリスムの時代 (ちくま学芸文庫) 作者: 塚原史 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日:…
巖谷國士の『シュルレアリスムとは何か』を読んでからずっと、「おとぎばなし」を読みたいと思っていた。ルーセルの『ロクス・ソルス』を読んだことでその想いが一層強まり、手に取った一冊。 長靴をはいた猫 (河出文庫) 作者: シャルルペロー,渋澤龍彦 出版…
『モレルの発明』と並んで、ブラザーズ・クエイが『ピアノチューナー・オブ・アースクエイク』を作成する際に参照したもう一つの小説。ずっと前から耳にしていたけれども、なかなか手に取るきっかけのなかった一冊とようやく向き合った。 ロクス・ソルス (平…
ボルヘスの盟友ビオイ=カサーレスが1940年に発表した、伝説の奇書。ボルヘスによって「完璧な小説」と激賞されたSF風小説。 モレルの発明 (叢書 アンデスの風) 作者: アドルフォビオイ・カサーレス,清水徹,牛島信明 出版社/メーカー: 書肆風の薔薇 発売日: …
吉祥寺のブックス・ルーエに立ち寄った際に、うっかり買ってしまった本。しかも、うっかり読んでしまった。たまにこういった軽めのエッセイが読めると、精神が健全に保てる気がして嬉しい。 ほんわか! 本についてわからないこと、ねほりはほり! (MF文庫ダ・…
わがホームタウン吉祥寺を代表する詩人が、薦めてくれた朔太郎。彼は萩原朔太郎の詩集に出会った日、それをマクドナルドにて徹夜で読み、そして翌朝、辞表を携えて当時の職場へ向かったそうだ。「俺は詩人なんだ」と気付かされたと、彼は笑いながら話してく…
ラテンアメリカの文学を世に知らしめ魔術的リアリズムの時代を開くこととなった、現代の世界文学を牽引する記念碑的作品。新潮社の発行している雑誌『考える人』の2008年春号で「海外の長篇小説ベスト100」の頂点に輝いたことも記憶に新しい。 百年の孤独 (O…
先日友人と話をしていて、ハヤカワepi文庫の全点読破を目指すことになった。期限を設けるわけではないので緩やかに実施されるに違いないが、特に初期のものに手を回すのはなかなか大変である。先日、田村隆一の詩を読んでいてアインシュタインの名前が出てき…
先日紹介した宮脇俊三の『時刻表2万キロ』に続く、我らが読書会の第二回課題図書。他のメンバーが中々手に取らなさそうな本を持ち回りで紹介し、課題として挙げる会である。 病牀六尺 (岩波文庫) 作者: 正岡子規 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1984/07…