Riche Amateur

「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

2009-01-01から1年間の記事一覧

ドラゴンは踊れない

友人の強い薦めで手に取ったカリブ海文学、現代トリニダード・トバゴを代表する作家、ラヴレイス。 ドラゴンは踊れない 作者: アール・ラヴレイス,中村和恵 出版社/メーカー: みすず書房 発売日: 2009/02/11 メディア: 単行本 クリック: 1回 この商品を含む…

1999

死の三ヶ月前に刊行された、戦後を代表する詩人田村隆一の最後の詩集。 詩集 1999 作者: 田村隆一 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 1998/05 メディア: 単行本 クリック: 3回 この商品を含むブログ (8件) を見る 田村隆一『1999』集英社、1998年。

ランボー詩集

シュルレアリストたちに大きな影響を与えたフランス象徴派・三大詩人の一人、ランボー。 ランボー詩集 (新潮文庫) 作者: ランボー,堀口大学 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1951/10/23 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 50回 この商品を含むブログ (18…

ナジャ

アンドレ・ブルトンが1928年に発表した自伝的作品『ナジャ』。現在書店で手に入る『ナジャ』は白水uブックス版とこの岩波文庫版の二種類あり、訳者はどちらも巖谷國士だが、後者のこちらは1963年にブルトン自身によって全面改訂が施された版である。 ナジャ…

シュルレアリスム宣言・溶ける魚

アンドレ・ブルトンが1924年に発表した、シュルレアリスム運動の拠り所となった記念碑的テクスト。 シュルレアリスム宣言・溶ける魚 (岩波文庫) 作者: アンドレブルトン,Andre Breton,巖谷國士 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1992/06/16 メディア: 文庫…

シュルレアリスムとは何か

「シュルレアリスム」という言葉をどうも理解していないと感じていた時に、書店の棚から抜き出した一冊。講演形式になっているから、読みやすそうだと思って手に取り、買ったそのままの足で喫茶店に入って読み耽った。 シュルレアリスムとは何か (ちくま学芸…

タイム・マシン

SF小説の不朽の古典であり、同時に最近私が気に入っているディストピア文学ともなっている「タイム・マシン」を収録した、ウェルズ初期の短篇集。 タイム・マシン 他九篇 (岩波文庫) 作者: H.G.ウエルズ,橋本槇矩 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1991/…

終の住処

磯崎憲一郎の第四作目であり、芥川賞受賞作品。書き下ろしの短篇「ペナント」を追加した上で早くも単行本化。 終の住処 作者: 磯崎憲一郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2009/07/24 メディア: 単行本 購入: 9人 クリック: 150回 この商品を含むブログ (96…

ノラや

猫を愛する気持ちを書き綴った、所謂「猫文学」の中でも最高の一冊。 ノラや (中公文庫) 作者: 内田百けん 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 1997/01/18 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 90回 この商品を含むブログ (127件) を見る 内田百閒『ノラ…

すばらしい新世界

ジョージ・オーウェルの『一九八四年』を読んでから、読みたくなったディストピア文学。『一九八四年』が書かれた1949年よりも17年早い、1932年に書かれた本である。 すばらしい新世界 (講談社文庫) 作者: ハックスリー,Aldous Huxley,松村達雄 出版社/メー…

一九八四年

村上春樹の『1Q84』が発売されると決まった時に、ちょうど版権が切れてしまっていたディストピア文学を代表する小説。ようやく出ました、新訳版。 一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫) 作者: ジョージ・オーウェル,高橋和久 出版社/メーカー: 早川書房 発…

青い眼がほしい

ハヤカワepi文庫の今月の新刊は『ソロモンの歌』である。ジョージ・オーウェルの『一九八四年』も発売になったが、個人的にはこちらの方に注目してしまう。今月の『ソロモンの歌』を皮切りに、今後毎月、「トニ・モリスン・コレクション」でしか読めなかった…

時刻表2万キロ

友人たちと読書会のようなものを開くことになった。月毎に課題図書を策定して、それを各自が読む。そして毎月の会合の際に感想を語り合うのだ。課題図書はメンバーの一人が当番制で推薦する。四人しかいない上に、みんな凄まじい読書家だから、安心して推薦…

幻・方法

1959年に刊行された吉野弘の第二詩集の復刻版。第二、とは言っても第一詩集の『消息』は少部数の自費出版本で、この詩集『幻・方法』にその三分の二が再録されている。 幻・方法 (愛蔵版詩集シリーズ) 作者: 吉野弘 出版社/メーカー: 日本図書センター 発売…

アポリネール詩集

高校生のある時、フランス文学を勉強したいと思いついた。学校の帰りに一人、紀伊國屋書店の新宿南店に行き、フランス人である気がする作家の本を沢山買ったことを覚えている。コレットの『青い麦』、『モーパッサン短篇集』、そして『アポリネール詩集』だ…

吉野弘詩集

本について文章を書くと、その本に与えられる記憶が固定化されてしまう。自分が感じたことの記録が残せるという長所はあるにせよ、固定化は時に僕を臆病にする。詩集について何かを書くのが恐ろしいのだ。もしかしたら明日寝る前にちらりと読む詩が、これま…

学問

先月末に刊行されたばかりの、山田詠美の新刊。今年は彼女にとってデビュー25周年目にあたる節目の年だ。 学問 作者: 山田詠美 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2009/06/30 メディア: 単行本 購入: 3人 クリック: 73回 この商品を含むブログ (71件) を見る …

ゆう/夕

谷川俊太郎の詩と吉村和敏の写真が同時に楽しめる、『あさ/朝』の姉妹本。 ゆう/夕 作者: 谷川俊太郎,吉村和敏 出版社/メーカー: アリス館 発売日: 2004/11 メディア: 単行本 購入: 2人 クリック: 5回 この商品を含むブログ (11件) を見る 谷川俊太郎『ゆう…

あさ/朝

左からみると絵本、右から読むと詩集になっている、谷川俊太郎と写真家吉村和敏によるビジュアルブック。 あさ/朝 作者: 谷川俊太郎,吉村和敏 出版社/メーカー: アリス館 発売日: 2004/07 メディア: 単行本 購入: 4人 クリック: 43回 この商品を含むブログ (…

詩のこころを読む

日本の詩が気になって仕方がないのだが、なかなかどこから手をつけたら良いのかわからない。そんな時に出会った岩波ジュニア新書の一冊。 詩のこころを読む (岩波ジュニア新書) 作者: 茨木のり子 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1979/10/22 メディア: 新…

プレヴェール詩集

足繁く通っていた古本屋が閉店する。その悲しい知らせを受けて行った閉店セールの中で見つけた本。 プレヴェール詩集 作者: ジャックプレヴェール,小笠原豊樹 出版社/メーカー: マガジンハウス 発売日: 1991/03 メディア: 単行本 購入: 1人 この商品を含むブ…

二十億光年の孤独

現代の大詩人、谷川俊太郎のデビュー詩集。1952年にこの詩集が刊行された時、谷川はまだ21歳だった。 二十億光年の孤独 (集英社文庫 た 18-9) 作者: 谷川俊太郎,川村和夫,W.I.エリオット 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2008/02/20 メディア: 文庫 購入: 1…

世紀の発見

磯崎憲一郎の最新刊。表題作と「絵画」という短い作品が一冊にまとめられたもの。 世紀の発見 作者: 磯崎憲一郎 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2009/06/13 メディア: 単行本 購入: 2人 クリック: 14回 この商品を含むブログ (21件) を見る 磯崎憲一…

詩人からの伝言

今月刊行されたメディアファクトリー文庫の一冊。まさか自分がMF文庫を買う日が来るとは、思っていなかった。 詩人からの伝言 (MF文庫ダ・ヴィンチ) 作者: 田村隆一/長薗安浩 出版社/メーカー: メディアファクトリー 発売日: 2009/06/23 メディア: 文庫 購…

眼と太陽

磯崎憲一郎の第二作目。『肝心の子供』とは随分趣の異なる、「私」によって語られるアメリカの日々。 眼と太陽 作者: 磯崎憲一郎 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2008/08/02 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 20回 この商品を含むブログ (20件)…

肝心の子供

「身体性を持ったボルヘス」と保坂和志に絶賛された作家、磯崎憲一郎のデビュー作であり、第44回文藝賞受賞作。 肝心の子供 作者: 磯崎憲一郎 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2007/11/16 メディア: 単行本 購入: 4人 クリック: 49回 この商品を含む…

創造者

今月謎の文庫化を遂げた奇跡の一冊。友人たちと予想していた装幀が見事に的中して、我々を喜ばせてくれた。 創造者 (岩波文庫) 作者: J.L.ボルヘス,Jorge Luis Borges,鼓直 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2009/06/16 メディア: 文庫 購入: 5人 クリック…

A2Z

先日『ぼくは勉強ができない』を絶賛したばかりだが、個人的に最高傑作だと思っているのは実はこの『A2Z』だ。 A2Z (講談社文庫) 作者: 山田詠美 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2003/01/15 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 25回 この商品を含むブログ…

ぼくは勉強ができない

山田詠美の代表作とも言える、連作短篇集。最近山田詠美ばかり読んでいるのは仕事の都合なのだが、彼女の作品を読んでいるとそんなことは忘れてしまう。 ぼくは勉強ができない (新潮文庫) 作者: 山田詠美 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1996/03/01 メディ…

ラビット病

1990年に刊行された、普段のものとはかなり違った趣の山田詠美。 ラビット病 (新潮文庫) 作者: 山田詠美 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1994/10/28 メディア: 文庫 クリック: 11回 この商品を含むブログ (35件) を見る 山田詠美『ラビット病』新潮文庫、1…