Riche Amateur

「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

いわゆる-伝記・評伝

村に火をつけ、白痴になれ

じつは先日より、久しぶりに日本にいる。出張での帰国というか、いつもどおり仕事の予定が多いので、会いたいひとたちにもろくに連絡をしていない滞在なのだが(みんなごめん)、仕事には都内の実家から電車に乗ってあらゆる場所へ行くため、移動時間が長く…

ゲーテさん こんばんは

唐突に、ゲーテの評伝。じつは前々から読みたいと思っていた本で、ゲーテが生きた時代のドイツに興味があるのだ。これはじつは、文学というよりも音楽に由来する関心で、当時のドイツにはモーツァルトやベートーヴェン、シューベルトがいたし、わたしが熱狂…

仮面の商人

小笠原豊樹の訃報が届いてから、早くも一週間が経った。一週間前、ちょうど『背骨のフルート』について書いたころであるが、わたしは自分でも驚くほど打ちのめされてしまっていて、ひどく沈んでいたものだ。自然、追悼の気持ちが高まってきて、はからずも生…

マヤコフスキー事件

あまりのおもしろさに息つく暇もなく読み終えてしまった。300ページを超える本だとは到底信じられないような速さで、終いにはもったいないとさえ思いはじめるほどの速さで読み終えた。これほどのひとは歴史上もう絶対に出てこない。わたしにとっての永遠の憧…

もう一人のメンデルスゾーン

友人がフランスに遊びに来るというので、土産として持って来て欲しいとお願いした一冊。探すのが大変な本をお願いしてしまったかもしれない、と思いもしたのだが、彼も書店員なので難なく見つけてくれたようだ。 もう一人のメンデルスゾーン―ファニー・メン…

ユルスナールの靴

ろくに連絡も寄越さない息子の様子をうかがうのと、年末のバカンス気分を少しでも堪能しようというつもりで、パリまで駆けつけてくれた母が、帰りの飛行機のなかで読もうと思ってるの、といいながら差しだしてみせた一冊。もう読んだ? と聞かれ、読んでない…

レーモン・ルーセルの謎

『アフリカの印象』と『ロクス・ソルス』の訳者、岡谷公二によるレーモン・ルーセルの評論。1989年に新たに発見された『ロクス・ソルス』の異稿に含まれた一章「アディノルファの新たな発見」を収録。 レーモン・ルーセルの謎―彼はいかにして或る種の本を書…

ダダ・シュルレアリスムの時代

職場の先輩が激賞していた、塚原史によるシュルレアリスム論。読む前に先輩が教えてくれた通り、トリスタン・ツァラの世界を知るための絶好の入門書だった。 ダダ・シュルレアリスムの時代 (ちくま学芸文庫) 作者: 塚原史 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日:…

敗れし國の秋のはて

堀口大學の父、外交官であった堀口九萬一の人生を追った評伝。 敗れし國の秋のはて 評伝 堀口九萬一 作者: 柏倉康夫 出版社/メーカー: 左右社 発売日: 2008/10/06 メディア: ハードカバー クリック: 5回 この商品を含むブログ (9件) を見る 柏倉康夫『敗れし…

実朝

小林秀雄の論じた、文庫本で40ページ程度の源実朝。 モオツァルト・無常という事 (新潮文庫) 作者: 小林秀雄 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1961/05/17 メディア: 文庫 購入: 5人 クリック: 54回 この商品を含むブログ (94件) を見る 小林秀雄「実朝」『…

右大臣実朝

鎌倉幕府第三代将軍、源実朝を謳った太宰治の短編。 惜別 (新潮文庫) 作者: 太宰治 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2004/02 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 19回 この商品を含むブログ (47件) を見る 太宰治「右大臣実朝」『惜別』所収、新潮文庫、19…