Riche Amateur

「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

翻訳家-小笠原豊樹

戦争と世界

唐突にマヤコフスキー。じつはこれについても近々書くつもりだが、ブレヒトの『アンティゴネ』を読んでいて思い出した一冊なのだ。戦争の残酷さ、というより、もっと具体的に、戦争に駆り出されること、無理やり動員されることの残酷さについて考えたとき、…

無実はさいなむ

じつに久しぶりに更新をするので、もうどんなことを書いていたのか、どんなことを書くべきなのかを忘れてしまった。きっかけでもないかぎり、わたしは自分で書いたことを読み返さない。それをだれかが読んでいると思い込んでいるのだから驚きだが、じっさい…

仮面の商人

小笠原豊樹の訃報が届いてから、早くも一週間が経った。一週間前、ちょうど『背骨のフルート』について書いたころであるが、わたしは自分でも驚くほど打ちのめされてしまっていて、ひどく沈んでいたものだ。自然、追悼の気持ちが高まってきて、はからずも生…

背骨のフルート

今日のニュースで知ったばかりなのだが、小笠原豊樹さんが亡くなられたそうだ。先日から著書の『マヤコフスキー事件』、訳業である「マヤコフスキー叢書」を、このブログでも立て続けに紹介していたところだったので、大きなショックを受けた。『マヤコフス…

悲劇ヴラジーミル・マヤコフスキー

先日の『ズボンをはいた雲』に引き続き、土曜社刊「マヤコフスキー叢書」の一冊。これはほんとうに気安く手に取れる、奇跡みたいにすばらしいシリーズである。読み終えたのはじつはもう一週間以上も前のことなのだが、先日の『ズボンをはいた雲』同様、これ…

ズボンをはいた雲

小笠原豊樹の『マヤコフスキー事件』を読んで、俄然興味をかきたてられたマヤコフスキー最初期の詩集のひとつ。そういえばこの本の存在を最初に教えてくれたのは、チャトウィンの『どうして僕はこんなところに』だった。土曜社が今年4月に刊行をはじめた「マ…

マヤコフスキー事件

あまりのおもしろさに息つく暇もなく読み終えてしまった。300ページを超える本だとは到底信じられないような速さで、終いにはもったいないとさえ思いはじめるほどの速さで読み終えた。これほどのひとは歴史上もう絶対に出てこない。わたしにとっての永遠の憧…

プレヴェール詩集

足繁く通っていた古本屋が閉店する。その悲しい知らせを受けて行った閉店セールの中で見つけた本。 プレヴェール詩集 作者: ジャックプレヴェール,小笠原豊樹 出版社/メーカー: マガジンハウス 発売日: 1991/03 メディア: 単行本 購入: 1人 この商品を含むブ…

かわいい女・犬を連れた奥さん

チェーホフが晩年に著した短編を集めたもの。そこにはユーモアを越えた何かがある。 かわいい女・犬を連れた奥さん (新潮文庫) 作者: チェーホフ,小笠原豊樹 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1970/11/30 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 15回 この商品…

火星年代記

天才。ここまで想像力が及ぶものか、と感動しました。レイ・ブラッドベリは天才です。 火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114) 作者: レイ・ブラッドベリ,小笠原豊樹 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 1976/03/14 メディア: 文庫 購入: 13人 クリック: 329回 こ…