悪童日記
本当に女性なのでしょうか。あまりにもリアルに戦争を描いた新しい古典。
- 作者: アゴタクリストフ,Agota Kristof,堀茂樹
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2001/05
- メディア: 文庫
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アゴタ・クリストフ(堀茂樹訳)『悪童日記』ハヤカワepi文庫、2001年。
この小説の興味深い点は、まず主体が常に「僕ら」であることだろう。主人公は双子の兄弟で、彼らは全てを共有しながら訳者によってハンガリーを指すであろうと推測される戦争中の世界を生きる。
原文はフランス語で書かれ、タイトルは「Le Grand Cahier」、つまり「大きなノート」だ。これは作中でこの双子が作り上げる「大きなノート」と同一のもので間違いない。
何故「大きなノート」が現在のあまりにも有名な「悪童日記」というタイトルになったのか、個人的にはかなり気になるところである。訳者の解説によればこれは「作品の内容をより具体的に、そしてやや反語的にイメージさせることを狙った訳題」(p.282)だそうだ。それが成功しているかどうかはともかく、作品の内容は素晴らしいものだ。訳も良い。
二時間もあれば読めてしまう本なので、是非多くの人に読んでもらいたい本です。絶対に損はしません。
- 作者: アゴタクリストフ,Agota Kristof,堀茂樹
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