Riche Amateur

「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

雪の中の三人男

ケストナー、やばい。想像していた以上に、やばい。この人の作品にハズレは無いのだろうか。 

雪の中の三人男 (創元推理文庫 508-2)

雪の中の三人男 (創元推理文庫 508-2)

 

エーリヒ・ケストナー(小松太郎訳)『雪の中の三人男』創元推理文庫、1971年。


これは児童書ではなく「いつまでも子ども」の人たちに贈られた本である。原題はまさしく「いつまでも子ども」。
背表紙に書かれた売り込み文をそのまま掲載しよう。

「懸賞で“高級ホテル十日間滞在の旅”を射止めた百万長者と失業青年。前者は嬉々として赤貧洗うが如き旅装を調え、後者はいつもの一張羅で出立する。当のホテルでは「貧乏人のふりをした大金持ちがやってくる」噂が花盛り、折から到着した二人は取り違えられ……。素寒貧を騙る大尽と下にも置かぬあしらいに途惑う青年を巡って、従業員と宿泊客が繰り広げる珍騒動はどこへ行く?」

断言するが、この文章から想像されることは何の意味もない。全て真実を述べているにも関わらず、圧倒的に意味が無いのだ。これはそういう作品であり、ケストナーとはそういう作家なのだろう。

再び思った。全部読もう。 

雪の中の三人男 (創元推理文庫 508-2)

雪の中の三人男 (創元推理文庫 508-2)