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「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

文学全集を立ちあげる

雑誌『考える人』に載っていた丸谷才一の文学論をみて、読んでみようと思った本。

文学全集を立ちあげる

文学全集を立ちあげる

 

丸谷才一鹿島茂三浦雅士『文学全集を立ちあげる』文藝春秋、2006年。


本、というよりほとんど雑誌だった。「世界文学全集篇」を楽しみに購入し、「日本文学全集篇」は率直に言ってほとんどわからなかった。

世界文学篇はケタケタ笑ったり、腹を立てたりしながら一気に読んでしまった。議論には登場したのに、最終的に完成したリストにケストナーが入っていないのには閉口したが。アゴタ・クリストフ『悪童日記』が「少年小説集」に入れられたのには笑った。子どもにあんなものを読ませて大丈夫だろうか。

チャンドラーでは『長いお別れ』を差し置いて、『さらば愛しき女よ』が収録されたのが嬉しかった。余程読んでいないとこういった選択はできないだろう。ブラッドベリ『火星年代記』も嬉しい。『ボートの三人男』も入っていた。チェスタトン『木曜の男』も。

池澤夏樹のものとは異なり、網羅的といっていい全集の計画だったが、完成したリストはやっぱりすごい。面白い議論だった。

日本篇に関しては、何も語る舌を持ちません。この三者が凄すぎるのだろうが、知識の不足を痛感した。

文学全集を立ちあげる

文学全集を立ちあげる

 

 追記(2014年9月23日):文庫になってました。

文学全集を立ちあげる (文春文庫)

文学全集を立ちあげる (文春文庫)