ホメロス伝
岩波文庫版『イリアス』下巻に併収されている、ホメロスの伝記。
- 作者: ホメロス,Homeros,松平千秋
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1992/09/16
- メディア: 文庫
- 購入: 11人 クリック: 20回
- この商品を含むブログ (36件) を見る
ヘロドトス(伝)(松平千秋訳)「ホメロス伝」『イリアス』下巻、岩波文庫、1992年。
成立は後2世紀頃と推測され、作者はヘロドトスを自称している。ここではホメロスはスミュルナに生まれたものとされ、終焉の地はイオスである。ホメロスの出自は諸説あり、『ホメロス伝』の語る内容も疑わしいものだが、当時の吟遊詩人の暮らしぶりが窺えて面白い。
スミュルナに生まれた少年メリシゲネスは、母クレテイスの主人ペミオスの許で教養万般を学び、成人すると学塾の教師になる。メンテスという男に誘われ塾を閉めて旅に出ると、旅先で眼を患い視力を失う。ホメロス(盲人の意)と呼ばれるようになった彼は、自らの闇の中で詩作に専念するようになる。
「人の世に思いもよらぬことは数あるが、
人の心ほど判らぬものはない」(465ページ)
物乞いをしながら詩を詠み生計を立てるホメロスに、人々は敬意を払う。『イリアス』と『オデュッセイア』に見られる何人かは、彼が実際に世話になった人々から名前を採っているそうだ。また彼が滞在した土地の多くは詩作の中に登場している。
訳者である松平千秋からの、ちょっと素敵な「おまけ」である。
- 作者: ホメロス,Homeros,松平千秋
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1992/09/16
- メディア: 文庫
- 購入: 11人 クリック: 20回
- この商品を含むブログ (36件) を見る