寝ながら学べる構造主義
ちょっと前に挙げた内田樹の構造主義入門書。
「構造主義」というイデオロギーを理解している人がどれだけいるでしょうか?
僕は口が裂けても「理解している」なんて言えないので、人に聞かれたらこの本を薦めています。
構造主義を含む現代思想に多大な影響を与えたマルクス、フロイト、ニーチェの三者の紹介から始まり、ソシュールの言語学を紹介し、フーコー、ロラン・バルト、レヴィ=ストロース、ラカンの思想の体系を非常にわかりやすく解釈させてくれます。
以下目次。
第一章 先人はこうして「地ならし」した――構造主義前史
第二章 始祖登場―ソシュールと『一般言語学講義』
第三章 「四銃士」活躍す その一――フーコーと系譜学的思考
第四章 「四銃士」活躍す その二――バルトと「零度の記号」
第五章 「四銃士」活躍す その三――レヴィ=ストロースと終わりなき贈与
第六章 「四銃士」活躍す その四――ラカンと分析的対話
「あとがき」に非常に面白い文章が書かれています。
「レヴィ=ストロースは要するに「みんな仲良くしようね」と言っており、バルトは「ことばづかいで人は決まる」と言っており、ラカンは「大人になれよ」と言っており、フーコーは「私はバカが嫌いだ」と言っているのでした。」(本書、200ページ)
これ以上の入門書は無いでしょう。滅茶苦茶わかりやすいことを言っているのに、本当にわかった気になれる。凄いことだと思います。ただ、注意しなければならないのは著者が紹介した思想をそのまま鵜呑みにするのではなく、そこから彼らの著作を手に取って難解な文章に臨まなければ、本当に「わかった気がする」まま完結してしまうので、やはり解説書以外の目的で使用するのは危険なことだとも思います。
自分にとっての問題提議の本として、一冊手元に置いておくのも面白いかもしれません。
僕の場合ラカンの思想には触れたことがあったので(そして挫折したことがあったので)、終章は非常に有益なものでした。言語学が多大に影響を与えている構造主義を理解するために、やはりロラン・バルトやフーコーをしっかり読もうという気にさせてくれました。普段特定の「思想」に触れない人たちも、この本を知的好奇心の喚起という目的をもって読むのは、有効なことだと思います。
読みやすいし、わかりやすいし、面白いし、興味深いです。
新書という形態を考えると、かなり良い本だと言えるでしょう。オススメ。