地下鉄のザジ
言葉の魔術師レーモン・クノーによるユーモラスな小説。
レーモン・クノー(生田耕作訳)『地下鉄のザジ』中公文庫、1974年。
田舎からパリにやってきた女の子ザジが、伯父の元で様々な奇妙な体験をする話。
クノーの選ぶ言葉を日本語に置き換える作業は、翻訳の域を越えて難しいものだろう。生田耕作の語彙の豊富さに驚嘆すると共に、ザジの大人びた発言の数々が笑いを誘う。
面白いだけではなく、技巧的で興味深い。素人が読んでも文学者が読んでも、大いに楽しめるであろう稀有な作品。
文学が芸術であることを思い出させてくれる名作。
追記(2014年9月21日):この本については2011年12月29日に書いた新しい記事があります。