桜の園・三人姉妹
チェーホフの四大劇のうち、晩年の二作『三人姉妹』と『桜の園』が収められた一冊。
アントン・チェーホフ(神西清訳)『桜の園・三人姉妹』新潮文庫、1967年。
悲劇的なテーマを喜劇的に描くことでそれは喜劇となり、逆の場合もまた同様である。やはり重要なのは、その扱い方なのだろう。そしてチェーホフは見事にそれを融合させ、観客によって悲劇とも喜劇とも捉えられる作品を練り上げている。
同時に、例えば一発の銃声でどれだけのことが表現できるか、それを徹底的に追及した結果が、「静劇」と呼ばれるチェーホフのスタイルを生み出すに至ったのだろう。
チェーホフの戯曲の中には、文学が向き合うべき主題がふんだんに盛り込まれているだろう。チェーホフブームは当分続きそうです。