フロイトの弟子と旅する長椅子
『バルザックと小さな中国のお針子』の作者による、長編小説第二作目。
ダイ・シージエ(新島進訳)『フロイトの弟子と旅する長椅子』ハヤカワepiブック・プラネット、2007年。
4月に新たに創刊されたハヤカワepiブック・プラネットシリーズ、文庫同様にこれから海外の優秀な作品が紹介されていくのだろう。
『バルザックと小さな中国のお針子』と同様に、言語はフランス語、舞台は中国。文革による禁書の影響などが、前作と同様に散見される。
自称中国初の精神分析医にしてフロイトやラカンの熱烈な信奉者である主人公が、愛する女性のために奔走する話。
全体的にコミカルで、相変わらずテンポは良いが、前作ほどの衝撃は受けなかった。全く同じような作風を期待していたからかもしれない。フェイドアウトに無理があったような気がするが、それにも関わらず、決められた感は拭えない。
のんびりと読みたい小説。
三作目の早急な翻訳を切望する。