Riche Amateur

「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

配架-アルゼンチン文学

詩という仕事について

ボルヘスというひとをもっとよく知りたいとき、ぜったいに読んでおくべきだと思う本が個人的に二冊あって、一冊は先日紹介した『The Last Interview』に収められたリチャード・バーギンとの対談(邦訳なら柳瀬尚紀訳の『ボルヘスとの対話』)、そしてもう一…

汚辱の世界史

またしてもボルヘス。『伝奇集』と『不死の人』に続いて手にとったのは、1935年刊行の、ボルヘス最初の短篇集だった。かつて『悪党列伝』という邦題で刊行されていた本の文庫版で、旧題のほうが内容を正確に言い表していると思いながらも、この新題が持つ詩…

不死の人

わたしはいま、空前のボルヘスブームの最中にいる。火付け役が英書の『Jorge Luis Borges: The Last Interview』であったことは先日書いたとおりだが、これまで『伝奇集』や『創造者』くらいしか読んだことのなかったわたしにとって、この本は未知のボルヘス…

Jorge Luis Borges: The Last Interview

先日『伝奇集』について書いた折、「記事にできるまで数週間かかるかも……」なんて言っていたボルヘスの対談集。まさか本当にこれほど時間がかかるとは思っていなかったのだが、いまわたしに起こっている空前のボルヘスブームは、じつはこの本が火付け役だっ…

伝奇集(再読)

今月やけに静かなのには理由があって、じつは二、三週間前に読み終えた本の感想をいまだに書き終えられずにいるのだ。それは英語で刊行されたボルヘスの対談集で、読み終えてからというもの、まさしく取り憑かれたようにボルヘスばかり読んでいる。つまり、…

モレルの発明

ボルヘスの盟友ビオイ=カサーレスが1940年に発表した、伝説の奇書。ボルヘスによって「完璧な小説」と激賞されたSF風小説。 モレルの発明 (叢書 アンデスの風) 作者: アドルフォビオイ・カサーレス,清水徹,牛島信明 出版社/メーカー: 書肆風の薔薇 発売日: …

創造者

今月謎の文庫化を遂げた奇跡の一冊。友人たちと予想していた装幀が見事に的中して、我々を喜ばせてくれた。 創造者 (岩波文庫) 作者: J.L.ボルヘス,Jorge Luis Borges,鼓直 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2009/06/16 メディア: 文庫 購入: 5人 クリック…

図書館

2008年10月に刊行されたばかりの、アルゼンチンの愛書家による書物を巡る素敵な随想集。 図書館 愛書家の楽園 作者: アルベルト・マングェル,野中邦子 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2008/09/29 メディア: 単行本 購入: 4人 クリック: 27回 この商品を含…

伝奇集

文学通を気取るのならば、ラテンアメリカは避けられない。だが僕がこれまでに読んだラテンアメリカの本はガルシア・マルケスの『戒厳令下チリ潜入記』だけだった。「ラテンアメリカ文学」ではなく「ラテンアメリカの本」と書いたのは、ガルシア・マルケスの…