Riche Amateur

「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 ――フェルナンド・ペソア         

いわゆる-日本の詩

短歌ください その二

とっくに読み終えていたのにいつまでも感想を書かずにいた、穂村弘の『ダ・ヴィンチ』誌上での連載、『短歌ください』の書籍化第二弾。テーマにもとづく歌の読者投稿をほむほむが選び、コメントを付ける、という、とても幸福な本。 短歌ください そのニ (ダ…

つむじ風、ここにあります

穂村弘の連載『短歌ください』の常連投稿者でもある、木下龍也による第一歌集。新進気鋭という言葉がぴったりの、自分よりも二つも若い青年が二年も前に刊行した歌たち。 つむじ風、ここにあります (新鋭短歌シリーズ1) 作者: 木下龍也 出版社/メーカー: 書…

やがて秋茄子へと到る

まだ一冊あった。以前一読しておいて、そのまま感想を書いていなかった歌集。これの感想を書けずにいたのは、ひとに薦められた本だったからだ。わたしは性格が悪いので、ひとに薦められても、おいそれとすぐにその本を買ったりはしない。このときもそうで、…

さよならバグ・チルドレン

先日の『サラダ記念日』につづき、数年前に一読したまま感想を書いていなかった歌集紹介シリーズ、第二回にしてたぶん最終回(ほかにも何冊か読んでいるはずなのに、なぜか本が見つからないのだ)。穂村弘の短歌、いや、短歌一般を一気に身近なものにしてく…

サラダ記念日

唐突、というわけでもないけれど、俵万智。先日『短歌ください』を読んでからというもの、この定型詩との再会を心底喜んでいるわけだが、じつはいまから三年以上も前に、同じように短歌にどっぷり漬かっていた時期があったのだ。2012年5月に読み、付箋だらけ…

短歌ください

日本で会った心の友に薦めてもらった本。今回は仕事を片付けるための帰国だったため、半年以上ぶりの日本だというのに期間もたった一週間と短く、しかも毎日会議が中心の心底さびしい日程だったのだが、場所もさまざまな取引先の会社を訪問するための電車に…

手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)

こんなに立てつづけに紹介するべき作家ではないのに、またもや穂村弘。先日の『世界中が夕焼け』と『求愛瞳孔反射』はすこし前に読んだものだけれど、これはほんとうについ最近読み終えた。もっとゆっくり読めばよかったとも思う。穂村弘の真骨頂、歌集。 手…

求愛瞳孔反射

信頼する友人が推薦しているのを知って、途端に興味を持った一冊。歌人である穂村弘の、短歌ではない詩集。 求愛瞳孔反射 (河出文庫) 作者: 穂村弘 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2007/04 メディア: 文庫 購入: 17人 クリック: 259回 この商品を含…

世界中が夕焼け

あまりにおもしろい本を読むと、すぐに感想を書こうという気になれない。なんというか、きっと読み終えてしまったことを認めたくないのだ。感想を書くというのは、自分がその本に対して抱いている印象をかっちり固定化する、ということにほかならないのだけ…

尾崎放哉句集

短歌に興味を持ったことで、俳句という文化にも関心が向きはじめている。そこで思い出した、尾崎放哉。じつは数年前にも読んでいたのだが、そのときには文章にしなかったので、良い機会だと思って再読してみた。 尾崎放哉句集 (岩波文庫) 作者: 池内紀 出版…

サリンジャーは死んでしまった

以前友人が紹介しているのを読んでから、とても興味を持っていた一冊。彼女が採った以上の方法で、この本の魅力を伝えられるとも思えず、いっそのこと文章をまるまる引用してやろうか、と思ったりもするのだが、それでは完全な剽窃となってしまうので、どう…

短歌の友人

なんだか無性に短歌のことが知りたくなって、初めて手に取ってみた穂村弘。 短歌の友人 (河出文庫) 作者: 穂村弘 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2011/02/04 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 12回 この商品を含むブログ (24件) を見る 穂村弘『…

詩の本

友人に自慢されて欲しくなった谷川俊太郎の新刊。彼はこの本の刊行記念朗読会に参加し、谷川さんご本人に色々と質問をする機会を得たという。羨ましい。僕なら何を聞くだろうか。 詩の本 作者: 谷川俊太郎 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2009/09 メディア…

萩原朔太郎詩集

わがホームタウン吉祥寺を代表する詩人が、薦めてくれた朔太郎。彼は萩原朔太郎の詩集に出会った日、それをマクドナルドにて徹夜で読み、そして翌朝、辞表を携えて当時の職場へ向かったそうだ。「俺は詩人なんだ」と気付かされたと、彼は笑いながら話してく…

1999

死の三ヶ月前に刊行された、戦後を代表する詩人田村隆一の最後の詩集。 詩集 1999 作者: 田村隆一 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 1998/05 メディア: 単行本 クリック: 3回 この商品を含むブログ (8件) を見る 田村隆一『1999』集英社、1998年。

幻・方法

1959年に刊行された吉野弘の第二詩集の復刻版。第二、とは言っても第一詩集の『消息』は少部数の自費出版本で、この詩集『幻・方法』にその三分の二が再録されている。 幻・方法 (愛蔵版詩集シリーズ) 作者: 吉野弘 出版社/メーカー: 日本図書センター 発売…

吉野弘詩集

本について文章を書くと、その本に与えられる記憶が固定化されてしまう。自分が感じたことの記録が残せるという長所はあるにせよ、固定化は時に僕を臆病にする。詩集について何かを書くのが恐ろしいのだ。もしかしたら明日寝る前にちらりと読む詩が、これま…

ゆう/夕

谷川俊太郎の詩と吉村和敏の写真が同時に楽しめる、『あさ/朝』の姉妹本。 ゆう/夕 作者: 谷川俊太郎,吉村和敏 出版社/メーカー: アリス館 発売日: 2004/11 メディア: 単行本 購入: 2人 クリック: 5回 この商品を含むブログ (11件) を見る 谷川俊太郎『ゆう…

あさ/朝

左からみると絵本、右から読むと詩集になっている、谷川俊太郎と写真家吉村和敏によるビジュアルブック。 あさ/朝 作者: 谷川俊太郎,吉村和敏 出版社/メーカー: アリス館 発売日: 2004/07 メディア: 単行本 購入: 4人 クリック: 43回 この商品を含むブログ (…

詩のこころを読む

日本の詩が気になって仕方がないのだが、なかなかどこから手をつけたら良いのかわからない。そんな時に出会った岩波ジュニア新書の一冊。 詩のこころを読む (岩波ジュニア新書) 作者: 茨木のり子 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1979/10/22 メディア: 新…

二十億光年の孤独

現代の大詩人、谷川俊太郎のデビュー詩集。1952年にこの詩集が刊行された時、谷川はまだ21歳だった。 二十億光年の孤独 (集英社文庫 た 18-9) 作者: 谷川俊太郎,川村和夫,W.I.エリオット 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2008/02/20 メディア: 文庫 購入: 1…

詩人からの伝言

今月刊行されたメディアファクトリー文庫の一冊。まさか自分がMF文庫を買う日が来るとは、思っていなかった。 詩人からの伝言 (MF文庫ダ・ヴィンチ) 作者: 田村隆一/長薗安浩 出版社/メーカー: メディアファクトリー 発売日: 2009/06/23 メディア: 文庫 購…

夜のミッキー・マウス

「詩集の読み方がわからない」と、人に言われることがある。僕もそんなに読んでないよ、と言いつつ、「好きなように読めばいいんじゃないかな」と答える。俳句や和歌だって詩なのだし、瞬時に全てが呑み込める詩なんて、そうそうない。詩にまつわる叙情なん…

月光とピエロ

メロディを知らなくても唄い出してしまいそうになる、堀口大學による最初の自作詩集。 月光とヒ゜エロ (愛蔵版詩集シリーズ) 作者: 堀口大学 出版社/メーカー: 日本図書センター 発売日: 2006/02/25 メディア: 単行本 クリック: 4回 この商品を含むブログ (2…

虹消えず

翻訳者である以上に詩人であった堀口大學の、多彩な活動を俯瞰できる一冊。 虹消えず 作者: 堀口大学 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1983/03 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 堀口大學『虹消えず』新潮社、1983年。

金槐和歌集

23歳の若さで散った、鎌倉右大臣、源実朝の歌集。 金槐和歌集 (岩波文庫) 作者: 源実朝,斎藤茂吉 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1963/01 メディア: 文庫 クリック: 2回 この商品を含むブログ (11件) を見る 源実朝(斉藤茂吉校訂)『金槐和歌集』岩波文庫…